ージス・アショア」
の調査結果を報告 山口 萩

山口県萩市に配備が計画されている新型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐり防衛省の原田副大臣は28日、山口県庁を訪れ、これまでの調査の結果、安全に配備できるとして地元に理解を求めました。

山口県萩市にある陸上自衛隊のむつみ演習場に配備が計画されている「イージス・アショア」をめぐり防衛省の原田副大臣は28日午後、山口県庁を訪れて、村岡知事や萩市の藤道市長、それに候補地に隣接する阿武町の花田町長と会談しました。

この中で原田副大臣はレーダーから出る電波について、住民の人体に影響を及ぼすことはないと調査の結果を説明しました。

また、迎撃ミサイルが発射された後、切り離される部品が周辺の集落に落下するのではないかという懸念については、ミサイルの飛行コースをコントロールし、演習場内に落下させるための措置を講じるとしています。

そのうえで「むつみ演習場にイージス・アショアを安全に配備・運用できる」と述べて理解を求めました。

これに対し、配備に反対している阿武町の花田町長は「町が力を入れてきた移住政策への影響について、国として見解が示されていない」と不満を示しました。

そのうえで来月行われる住民説明会で住民の理解が得られるのかを見極めて町としての対応を決める考えを示しました。

阿武町では計画の撤回を求める住民グループの会員数が有権者の半数以上になるなど、反対の声も根強く、防衛省では来月、住民への説明会も行うことにしています。

原田副大臣「具体的に説明できた」

会談のあと、防衛省の原田副大臣は報道陣に対し「これまで十分に説明できていない部分もあったが、調査結果が出たため、客観的、具体的に説明できた」と述べ、安全に配備できるとする考えを強調しました。

そのうえで、今後の見通しについて「今回の調査結果のみで建設工事を強行したり、配備先を決定したりするものではない。地元の議会や住民にも説明する機会をつくり、誠意をもって取り組んでいきたい」と述べました。

また阿武町で配備に反対する住民グループの会員数が有権者の半数以上に達していることについて、原田副大臣は「できるだけ丁寧に説明をさせていただいて、理解をいただけるよう努力したい」と述べ、説明を繰り返していく考えを重ねて示しました。

山口県知事「丁寧に説明してもらいたい」

山口県の村岡知事は会談のあと報道陣に対し、「レーダーの影響や地下水への影響など地元から懸念が示されていた点については、説明で網羅されていたと思う。市や町の住民などにしっかりと丁寧に説明してもらいたい」と述べました。

また、レーダーの近くをドクターヘリが飛行する場合、計器などに影響が出る可能性があることについては「県民の命に関わることなので、しっかり国と話をして支障がないようにしていくことが必要だ」と述べました。

萩市長「しっかり検討していきたい」

萩市の藤道市長は会談のあと報道陣に対し「説明を受けたばかりで、中身についてこれで十分なのかしっかり検討していきたい」と述べ、市として調査結果を検証する考えを示しました。

また、配備への賛否を判断するうえで重視するポイントについて問われたのに対し、国益にかなうものかどうか、住民の安心安全が確保できるかどうか、まちづくりに大きな支障が出ないかどうかの3つの条件を改めて示し、判断の時期については明言しませんでした。

阿武町長「配備反対の考えに変わりない」

阿武町の花田町長は、会談のあと報道陣に対し「きょうの調査結果の説明をもっていま考えているものがひっくり返ることは考えられない」と述べ、現時点で配備反対の考えに変わりないことを強調しました。

また、国が地元の理解を求めたいとしている点については「きょうの説明ではその観点がすべて欠落していた。町が進めてきた移住や定住のための政策に影響があるというわれわれの主張への答えもなかった」と述べました。