用」裁判で株式売却へ
「一層困難に」韓国主要紙

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判で、原告側は1日、すでに差し押さえていた日本企業の株式を売却する手続きに踏み切り、韓国の主要紙は「令和の初日に手続きが行われたことで、日韓関係はさらに難しくなる」などと伝えています。

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判では、被告の日本企業が賠償に関する協議に応じていないことから、原告側はメーデーに当たる1日、すでに差し押さえていた日本企業の株式を売却する手続きを行ったと発表しました。

これについて、韓国の保守系の主要紙中央日報は「令和初日に手続きが行われ、日韓関係はさらに難しくなる」と大々的に報じ、日本政府が抗議したことや対抗措置を検討していることも伝えています。

また、保守系の朝鮮日報は「日本にとって最大の祝いの日に、賠償に消極的な日本政府と企業に圧力をかけた」という見出しを取り、日本政府や企業に賠償に関する協議に応じさせようという原告側のねらいがあったという見方を紹介しています。

一方、革新系のキョンヒャン(京郷)新聞は、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が、即位した天皇陛下に祝電を送ったものの、日本と韓国の間には「徴用」をめぐる問題に加え、慰安婦問題や福島県産などの水産物の輸入禁止措置といった多くの課題があり、関係の改善は依然難しい状況だと伝えています。

韓国外相「政府は介入しない」

これについて、韓国のカン・ギョンファ(康京和)外相は2日に開いた記者会見で、「国民がみずからの権利を行使している段階で、政府は介入しない」と述べ、司法の判断を尊重するという従来の姿勢を改めて示しました。

また、この問題をめぐり、日本政府は、韓国政府に日韓請求権協定に基づく協議を求めていますが、カン外相は「多様な対応策を準備しているが、政府として対外的に発表できる時期ではない」と述べるにとどまり、具体的な言及は避けました。

カン外相は、天皇陛下の即位に関連して、「新しい時代を迎えた日本と、歴史を直視しながら未来志向的な関係の発展を推し進めていく」と述べましたが、「徴用」をめぐる問題に加え、慰安婦問題や福島県産などの水産物の輸入禁止措置といった多くの課題がある中、日韓関係が好転するめどは立っていません。

菅官房長官「韓国に抗議」

菅官房長官は1日夜、民放のBS番組で、「日韓請求権協定に基づく協議の要請への回答が、まだ韓国から来てない中で、こうしたことが起きたことは極めて遺憾なことであり、韓国政府に抗議した」と述べました。

そのうえで菅官房長官は、「政府は、関係企業とそれぞれ緊密に連携して、常に連絡を取りながら、企業の利益を守るべくしっかり対応している。企業の利益を守り抜くという思いだ」と述べ、日本企業の利益を守るため万全の対応を取る考えを示しました。