性宮家の創設は
保守層中心に慎重論

皇位継承を受けて、政府は今後、安定的な皇位継承の確保や皇族数の減少への対応を迫られることになりますが、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家の創設には保守層を中心に根強い慎重論があり、今後、議論がどこまで進むかは見通せない状況です。

今回の皇位継承にあたり、政府は、天皇の意思に基づく譲位と受け取られれば、国政への関与を禁じた憲法に抵触するおそれがあるとして、退位と即位の儀式を厳格に分離するなど、憲法との整合性に腐心し慎重に準備を進めてきました。

今後、政府は、天皇陛下と上皇さまが並び立つ、権威の二重性の問題などが発生しないよう細心の注意を図りながら、一連の儀式を円滑に行うための準備を進めることにしています。

一方、皇位の継承資格がある皇族は、新たに皇嗣となられた秋篠宮さまなど3人となるほか、女性皇族が結婚で皇室を離れることも予想されることから、政府は今後、安定的な皇位継承の確保や皇族数の減少といった課題への対応を迫られます。

菅官房長官は1日の記者会見で、今回の皇位継承を実現する特例法を審議した衆参両院の委員会で、政府に対して、これらの課題への速やかな検討を求める付帯決議が可決されたことから、極めて重大な問題だとして検討を行っていく考えを示しました。

その一方で、菅官房長官は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家の創設などについては「男系継承が古来、例外なく維持されてきた重みなどを踏まえ、慎重に検討を行う必要がある」と述べました。

女性宮家の創設は、これまでも当時の小泉政権と野田政権で議論されましたが、保守層を中心に「女系天皇の誕生に道を開くことにつながり、男系の皇位継承という伝統が壊れかねない」などといった慎重論があるほか、女性天皇の容認は皇位継承順位に影響を与える可能性も浮上することから、今後、議論がどこまで進むかは見通せない状況です。