交青書まとまる 北朝鮮
韓国・ロシアで表現に変化

外務省はことしの外交青書をまとめ、北朝鮮について、去年使っていた「圧力を最大限まで高めていく」という表現は使わず、「国際社会が一体となってアメリカと北朝鮮の交渉を後押ししていくことが重要だ」としています。

外交青書は、昭和32年から毎年発行されている日本外交の方針や国際情勢をまとめた文書で、23日の閣議で報告されました。

この中では、北朝鮮について、「核・ミサイルの完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄は行っておらず、北朝鮮の核・ミサイル能力に本質的な変化は見られない」と指摘しています。

一方で、去年使っていた「圧力を最大限まで高めていく」という表現は使わず、2度の米朝首脳会談も踏まえ、「国際社会が一体となってアメリカと北朝鮮の交渉を後押ししていくことが重要だ」としているほか、「1日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく全力を尽くしていく」としています。

また、韓国との関係について、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる判決や元慰安婦を支援する財団の解散などを挙げ、「韓国側による否定的な動きが相次ぎ、日韓関係は非常に厳しい状況に直面した」と指摘しています。

そのうえで「徴用」をめぐる判決は、「日韓関係の法的基盤を覆すもので断じて受け入れられない」として、日韓請求権協定に基づく協議に応じるよう求め、「引き続き、国際裁判や対抗措置も含めあらゆる選択肢を視野に入れ、適切に対応していく」としています。

さらに、北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉については、去年までの「北方四島は日本に帰属する」という表現がなくなり、「両首脳の強いリーダーシップのもと、領土問題を解決して平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んでいく」としています。

官房長官「北朝鮮の情勢 総合的に勘案」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、北朝鮮をめぐり、去年使われた「最大限の圧力」という表現がなくなったことについて、「昨年6月及びことし2月の米朝首脳会談の開催といった大きな動きがあったことなど北朝鮮の最近の情勢を総合的に勘案している」と述べました。

そのうえで菅官房長官は「わが国としては、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図ることを基本方針にして引き続きさまざまな取り組みを進めていきたい」と述べました。

河野外相 北方領土「法的立場に変わりはない」

河野外務大臣は記者会見で「北方四島は日本に帰属する」という表現がなくなったことについて、「外交青書はその年の外交について総合的に勘案して書いている。政府の法的立場に変わりはない」と述べました。

韓国外務省「韓国固有の領土」と主張し強く抗議

韓国が「トクト(独島)」と呼んで領有権を主張している島根県竹島を外交青書で「日本固有の領土」などと表現していることに対して、韓国外務省は報道官の論評を出して強く抗議しました。

論評では竹島について「歴史的、地理的、国際法的に韓国固有の領土である」と主張しました。

そのうえで「日本政府は、不当な主張を繰り返すことが未来志向的な日韓関係の構築に役立たないという点を明確に自覚しなければならない。日本のいかなる挑発にも断固として対応していく」と抗議しました。

立民 福山氏「非常に問題」

立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「北方四島は日本に帰属する」という表現がなくなったことについて、「非常に問題であり、諸外国に間違ったメッセージを与える可能性が強い。『日本はポジションを変えたのか』ということになるので、主権国家として、外交的な正式な文書の中で表現をおろすことは、非常に違和感を感じる」と述べました。