縄3区 辺野古移設反対
屋良氏が自民元大臣を破る

衆議院沖縄3区の補欠選挙は、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設反対を訴えた無所属の新人でフリージャーナリストの屋良朝博氏が、自民党の新人を破り、初めての当選を果たしました。

衆議院沖縄3区の補欠選挙の開票結果です。

▽屋良朝博(無所属・新)当選 7万7156票
▽島尻安伊子(自民・新)5万9428票

新人の屋良氏が、自民党の新人で元沖縄・北方担当大臣の島尻氏を破り、初めての当選を果たしました。

屋良氏は56歳。沖縄の新聞社・沖縄タイムスで論説委員や社会部長などを歴任し、現在はフリージャーナリストとして活動しています。

屋良氏は、選挙区内の名護市辺野古で工事が進められているアメリカ軍普天間基地の移設反対を訴え、玉城知事のほか、立憲民主党や共産党、社民党などの支援を受けました。

そして、支援政党の支持層を固めたほか、支持政党を持たない無党派層の支持を集め、初めての当選を果たしました。

対する自民党の島尻氏は、移設容認の立場で選挙戦に臨み、公明党などからの支援を受けましたが及びませんでした。

屋良氏を支援した玉城知事は「移設工事は、工事期間や予算の面で公共工事としてはでたらめだと断じざるをえない」と述べました。

玉城知事としては、ことし2月の県民投票で辺野古沖の埋め立てに反対が多数となったのに続き、今回の補欠選挙で移設反対を訴えた候補者が勝利したことで、移設阻止に向けた働きかけを強めていくものとみられます。

投票率は43.99%でした。

屋良氏「基地移設問題 県民の強い民意が改めて示された」

屋良氏は「長く続いている普天間基地の移設問題に対し、確実に解決策を示していきたいという訴えが有権者に響き、県民の強い民意が改めて示された結果だと思う。辺野古沖への移設が解決策にはならないということを明らかにして、早急な抜本的解決を図っていきたい」と述べました。

島尻氏「訴えが浸透しきれなかった」

島尻氏は「一日も早い辺野古への基地の移設が現実的な解決策と思っており、それが普天間基地の全面返還、および跡地利用による次の沖縄振興につながるという考えに変わりはないが、訴えが浸透しきれなかった」と述べました。

沖縄県 玉城知事「政府との『対話』へのエール」

沖縄県の玉城知事は「『県と政府の対立』ということばがあるが、われわれは対立ではなく対話を求めている。屋良さんへの有権者の熱い支援は政府との『対話』へのエールだと思う。移設工事は工事期間や予算の面で公共工事としてはでたらめだと断じざるをえず、日米両政府との対話や協議の中で一日も早い解決策を探るべきだ」と述べました。

自民 二階氏「謙虚に受け止め 今後の対応考えたい」

自民党の二階幹事長は記者団に対し、「いろいろなことが原因になっているが、謙虚に受け止めて、今後の対応を考えたい。地域の理解を得られるよう今後とも努力したい」と述べました。

立民 長妻氏「県民の怒りが背景に」

立憲民主党の長妻選挙対策委員長は記者団に対し、「党として全力で応援したので非常に喜んでいる。新基地建設の是非が争点になり屋良氏はノーと明確に言った。県民投票の結果が出たにもかかわらず、安倍総理大臣は無視して強行した。県民の怒りが今回の背景になったのではないか。政府はアメリカと再交渉し、辺野古の工事は無期限に止めるべきで、政府にさらに強く意見をぶつけていきたい」と述べました。

国民 玉木氏「基地問題 民意は明確に」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「野党が力を合わせて応援し、結束して臨み、勝利を収めることができてよかった。最大の争点は基地問題で民意は明確になった。政府は民意を尊重すべきだ。一度ゼロベースで見直しを行うべきだ」と述べました。

公明 斉藤氏「野党統一候補は大変手ごわい」

公明党の斉藤幹事長は記者団に対し、「県知事選挙からの流れがあったが、与党にとって、野党の統一候補というのは参議院選挙でも大変手ごわい相手だ。その力の一端が、この選挙で示された。与党も一層団結をして、選挙戦に臨んでいかなければならない」と述べました。

そのうえで、普天間基地の名護市辺野古への移設に与える影響について、「安全保障に関わる問題は政治が責任を持って行わなければならないことで、これからも推し進めていかなければならない。ただ、県民の複雑な思いに真摯(しんし)に向き合いながら、丁寧に説明をしていかなければならない」と述べました。

共産 志位氏「安倍政権に対する沖縄県民の大きな勝利」

共産党の志位委員長は記者会見で、「強権で辺野古埋め立てを進めてきた、安倍政権に対する沖縄県民の大きな勝利で、『新基地NO』のとどめの審判が下った。安倍政権には辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の無条件での撤去を求めてアメリカ政府と交渉することを強く求めたい」と述べました。

自由 小沢氏「民意を踏みにじればどうなるかを示した」

自由党の小沢代表は「政権が民意を踏みにじれば、どういうことになるかを、明確に示している。民主主義の勝利であり、本当にうれしく、心強く思う。安倍政権はこの選挙結果を潔く認め、普天間基地の速やかな返還を実現するとともに、辺野古への移設工事を即刻中止すべきで、そのためのアメリカとの協議を行わなければならない」などとする談話を出しました。

希望 松沢氏「政府は沖縄県民を説得する責任を」

希望の党の松沢代表は「辺野古移設反対の意思が示されたものと思うが、辺野古移設は普天間基地の危険性を除去するための唯一の選択肢だ。今後、政府には沖縄県民をしっかりと説得する責任を果たしてもらいたい」などとする談話を出しました。

社民 吉川氏「基地建設反対の民意の強固さを改めて示した」

社民党の吉川幹事長は「県民投票で辺野古埋め立て反対が7割以上に達したのに続いて、新基地建設反対を明確に訴えた屋良候補の勝利は基地建設反対の民意の強固さを改めて示すものだ。安倍政権に対し、強権的な土砂投入を直ちにやめ、辺野古不要の普天間返還に向け、沖縄県との話し合いを始めるよう求める」などとする談話を出しました。

防衛省幹部「埋め立て工事進める方針に変わりはない」

防衛省幹部はNHKの取材に対し、「沖縄県知事選挙、県民投票、そして今回の補欠選挙と、連続して『辺野古反対』の形になったことを受け止めなければならないが、政府としてはいろいろな声に耳を傾けながらも、埋め立て工事を進める方針に変わりはない。普天間基地の早期返還を実現する現実的な選択肢は辺野古移設以外にはないと考えており、理解を求め続けていくしかない」と話しています。