元号 複数の閣僚が
別案推す 議事概要公表

新元号「令和」の決定を前に開かれた全閣僚会議などの議事概要が公表されました。全閣僚会議では、発言した10人のうち9人が、典拠、いわゆる出典を日本の古典とすることが望ましいと発言し、このうち4人が「令和」を推す一方、複数の閣僚が、中国の古典が出典のものを含む、ほかの原案を推していたことが明らかになりました。

政府が19日公表したのは、今月1日に新元号「令和」が決定されるのを前に開かれた、各界の代表や有識者からなる「元号に関する懇談会」、衆参両院の議長と副議長からの意見聴取、全閣僚会議の議事概要です。

このうち「元号に関する懇談会」では、9人のメンバー全員が国書=日本の古典を典拠、いわゆる出典とするのが望ましいという考えを示していました。
また「令和」について、8人が「響きが優しい」などと推したのに対し、1人が別の原案が好ましいと発言していたことが分かりました。

続く衆参両院の正副議長からの意見聴取では「わが国のよき伝統と未来への希望を託せる新元号が望ましい。提示された原案はいずれもこれにかなっている」という意見の一方、「特定の季節を指すものはどうか」と、「令和」に難色を示す意見も出されていたことが明らかになりました。

懇談会と正副議長からの意見聴取では、いずれも最後に菅官房長官が「意見を参考として内閣として新元号を決定する」という考えを示し、了承されていました。

そして最後に開かれた「全閣僚会議」では、発言した10人の閣僚のうち9人が国書からの選定を求め、このうちの4人が「人々の思いを集めた万葉集という、わが国独自の由来がある」などと、「令和」を推していました。

一方、「『令和』は昭和とかぶるところがある」などと、複数の閣僚が、漢籍=中国の古典が典拠のものを含む、ほかの原案を推挙していたことも明らかになりました。

会議では、菅官房長官が「意見を踏まえ、新元号は総理に一任したい」と述べて了承され、最後に安倍総理大臣が、「国書である万葉集を典拠とする『令和』を新元号としたい」と発言していました。

新元号「令和」の決定にあたっては、令和に加え、英弘(えいこう)、久化(きゅうか)、広至(こうし)、万和(ばんな)、万保(ばんぽう)の6つの原案が示されましたが、議事概要には、これらは明記されていないほか、それぞれの発言をした人の名前も明らかにされませんでした。

官房長官「今後議事録も作成」

菅官房長官は午後の記者会見で、「今後、発言者名や『令和』以外の案を記載した議事録も作成する予定で、それらの文書についても公文書管理法や情報公開法などの関係法令に基づいて適切に管理していきたい。議事録以外の関係文書も公文書管理法などを踏まえつつ、作成したものを適切に保存していきたい」と述べました。

また菅官房長官は、議事概要で発言者の名前を公表しなかった理由について、「新元号が広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくことが重要で、新元号『令和』が特定の発言者と結び付けて評価されることは適当ではない。また将来、想定される元号選定の際に支障となることが懸念されるため、発言者名については公表しないことになっている」と述べました。