ばってきた首相の責任」
「怒り禁じえない」政界反応

桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣が東日本大震災の被災者の気持ちを傷つける発言をし、10日、事実上、更迭されたことに対する政界の反応です。

菅官房長官「皆さんにおわび」

菅官房長官は午前の記者会見で「こうした事態に至り、国民の皆さんにおわび申し上げる。すべての大臣が復興大臣であるとの認識を再確認し、今後も東北の復興に全力をあげていきたい」と述べました。

そのうえで「復興オリンピック・パラリンピックは東京大会の最も重要なテーマの1つだ。後任には被災地岩手の出身で、復興五輪に強い思いを持つ鈴木議員を充て、信頼を回復し、復興の後押しとなるような被災地と連携した取り組みを進めながら大会を成功に導いていきたい」と述べました。

また菅官房長官は、記者団が「どのように態勢を立て直すのか」と質問したのに対し「国民に約束した経済の再生、外交安全保障の再構築、さらには全世代型社会保障制度の実現、こうしたことをしっかり実現し、説明をしていくことが大事だ」と述べました。

立民 辻元氏「かばった首相の責任 辞任ドミノに」

立憲民主党の辻元国会対策委員長は党の代議士会で「桜田氏をかばい、適材適所と、大臣の任にとどめてきたのは誰なのか。問われるべきは、安倍総理大臣の任命責任だ。『辞任ドミノ』の状況に突入してきているが、一人一人の大臣の資質の問題ではなく、安倍政権全体の体質だ」と述べました。

国民 原口氏「首相がやめさせられなかったから」

国民民主党の原口国会対策委員長は党の代議士会で「被災地の人たちに、よくこんなことが言えるなという発言だ。安倍総理大臣は求心力がなくなり、自民党の幹事長派閥から押し込まれた人を今までやめさせることができなかったのではないか」と述べました。

公明 山口氏「怒り禁じえない 政府への警告」

公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「発言は被災地の皆様の気持ちを逆なでする不適切なもので到底許されない。塚田前国土交通副大臣も国民の批判を浴びる不適切な発言で辞任し、与党側から政府に緊張感を持つよう申し上げたやさきに、このような発言が出るとは、どういうことだ。怒りを禁じえない。政府に対する警告なので、閣内に徹底してもらいたい」と述べました。

そのうえで、統一地方選挙や衆議院の補欠選挙、それに夏の参議院選挙を念頭に、「われわれはこれから国民や住民の審判を受ける立場に立つので、襟を正して、真摯(しんし)な姿勢で、国民の要望や不安に応えなければならない」と述べました。

共産 志位氏「政権のおごりが形で現れた」

共産党の志位委員長は記者会見で「論外の発言で、辞任は当然だが、安倍総理大臣の任命責任はもとより、これまでかばいだてしてきた責任が極めて重い。国土交通副大臣の発言から連続し、政権のおごりが非常に深刻な形で現れており、きちんと追及していく」と述べました。

維新 馬場氏「もともと不適切な人事」

日本維新の会の馬場幹事長は党の代議士会で「基本的な大臣の資質がなかったのではないか。五輪憲章を読んだことがないのに担当大臣をやっていて、もともと不適切な人事だった。あまりにも長期安定政権が続き、気の緩みやおごりにつながっているのではないか」と述べました。

希望 松沢氏「安倍首相の見方にも疑問」

希望の党の松沢代表は記者会見で「きのうの発言だけではなく、これまでの発言やオリンピック・パラリンピック担当大臣として何をやってきたのかを観察していても、大臣をやる資質に問題があった。安倍総理大臣の任命権者としての見方にも疑問に思わざるを得ない」と述べました。

社民 吉川氏「何度も罷免要求を出したのに」

社民党の吉川幹事長は記者会見で「就任当初から失言を繰り返し、野党から何度も罷免要求が出されていたにもかかわらず、かばい続けてきた安倍総理大臣の任命責任は大変重い。予算委員会を開いて任命責任の一端を明らかにしていただかなければならない」と述べました。

野田前首相「表現力がなさすぎた」

衆議院の会派「社会保障を立て直す国民会議」の代表を務める野田前総理大臣は記者会見で「ことばの選び方を失敗する人だ。『復興は大事、次に高橋さんも大事だ』と言えば、済んだ話なのに、表現力がなさすぎた。反省が生かされておらず、辞任はやむを得ない」と述べました。

元復興相の根本厚労相「気持ち傷つける」

平成24年から復興大臣を務めた根本厚生労働大臣は「自分はかつて、復興大臣として被災地の皆さんの心に寄り添い、魂を据えて復興に取り組んできただけに、被災地の皆さんの気持ちを傷つける今回の発言は極めて残念だ。私も被災地の復興に全力をあげて取り組むとともに、より一層、緊張感を持って施策の推進に取り組みたい」と述べました。

小池都知事「とても残念」

桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣が辞任したことについて東京都の小池知事は11日午前、都庁で記者団に対し「桜田大臣の発言はとても残念に思う」と述べました。

そのうえで小池知事は、桜田大臣の後任に鈴木俊一・前大臣が起用されることについて「鈴木大臣は岩手の出身であり、連携をとりながら『復興五輪』の流れを強めていきたい」と述べ、来年の東京大会が東日本大震災からの復興の後押しとなるよう、鈴木大臣と連携していく考えを示しました。また、今回の辞任が大会に与える影響については「鈴木大臣は再登板なので特に問題はないと思うし、大変地道にしっかりと仕事をする方なので期待している」と述べました。

五輪・パラ組織委 森会長「1番大事な時にこんな形で」

復興五輪を大会の理念に掲げる東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長は記者団に対し、「大会まで500日を切って1番大事な時に大臣がこんな形で辞めるのは本当に残念だ。このオリンピックの源流は災害復興ということから始まっている。それを口にしようとしまいと、われわれは東日本震災のことが頭にないことは1つもない。オリンピックの担当大臣はアスリートや関係者の気持ちを鼓舞する、そういう姿勢で務めてもらいたいというのが率直な気持ちだ」と述べました。

自民 岸田氏「背景には政権や与党の緩みという指摘」

自民党の岸田政務調査会長は「あってはならない発言で誠に残念だ。国土交通副大臣の辞任もあり、背景には政権や与党の気の緩みがあるのではないかといった指摘がある。大事な選挙が続き、国会もまだ開会中であり、緊張感を持って臨んでいきたい」と述べました。

自民 石原氏「いつ国民が愛想を尽かすか」

自民党の石原元幹事長は「不祥事が相次ぎ国民は厳しく見ている。統一地方選挙の後半戦に臨むところで水を差されたことは否めない。長期政権なだけに、いつ国民が愛想を尽かすか危機感が足りない」と指摘しました。

自民 石破氏「そのつど2度とないようにと言うが…」

自民党の石破元幹事長は「いろいろな発言があって、そのつど『こんなことが2度とないように』と言われるが、『自民党は本当に気を引き締めて反省してやっている』と見せないと国民は全く得心しない」と述べました。