守分裂の福岡県知事選
現職の小川氏 3回目の当選

保守分裂の構図となり、現職と新人2人の合わせて3人が争った福岡県知事選挙は7日に投票が行われ、現職の小川洋氏が3回目の当選を果たしました。

福岡県知事選挙の開票結果です。

▽小川洋(無所属・現)当選 129万3648票
▽武内和久(無所属・新)34万5085票
▽篠田清(無所属・新)11万9871票

自民党の推薦は得られなかったものの、自民党の一部の国会議員らに加え、山崎元副総裁や古賀元幹事長の支援を受けた現職の小川氏が、自民党が推薦した武内氏や、共産党が推薦した篠田氏を抑え、3回目の当選を果たしました。

小川氏は福岡県出身の69歳。特許庁長官などを務めたあと、内閣広報官を経て、平成23年の福岡県知事選挙で初当選し、これまでに2期、知事を務めました。

今回の選挙が保守分裂の構図となる中、小川氏は、2期8年間の実績を強調したうえで、「住み慣れたところで働き、暮らし、育てる」地域社会を作っていくと訴えました。

そして、自民党や公明党、立憲民主党などの支持層に支持を広げたほか、支持政党を持たない無党派層からも支持を集めて、3回目の当選を果たしました。

小川氏は「これまでの選挙とは形の異なる、いわば手探り、手作りの選挙戦になりったが、勝利をつかむことができた。この勝利は県民の勝利と言っても過言ではないと思う」と述べました。

今回の福岡県知事選挙の投票率は42.72%で、前回を3.87ポイント上回りました。

武内氏「私の力不足」

武内氏は「私の力不足で、福岡の未来に対するビジョン、政策をしっかり伝え切れなかったことは残念です。勝った小川知事にはもっと福岡県を元気にしていただきたいと思います。自民党の推薦候補として戦わせていただいたことを心より感謝申し上げます」と述べました。

麻生副総理「われわれの力不足」

武内氏を支援した麻生副総理兼財務大臣は「党本部から推薦をいただいた極めてよい候補者だったと思っています。そういう候補者を残念ながら当選させ切れなかったことは誠にふがいなく、われわれの力不足だと改めて心からおわび申し上げる次第です」と述べました。

自民 古賀元幹事長「県民の賢明な判断」

小川氏を支援した自民党の古賀元幹事長は東京都内でNHKの取材に対し、「かつて無いような枠組みでの選挙になったが、誰がいま知事としてふさわしいのか、賢明に審判を下していただいた結果だ。引き続き、小川知事に県民の先頭に立って頑張っていただきたいという思いの結果であり、自然の流れなのかなと思う」と述べました。

また、「保守分裂選挙」になったことについて、古賀氏は「いろいろな状況や環境の中でその時その時決断をするのは、党の責任者であり、難しい問題だ。ただ、7月の参議院選挙で、また一緒に頑張って、われわれの候補者を当選させるのかがいちばん大事なことで、それに向けてまとまっていくことだ」と述べました。

山崎元自民党副総裁「オウンゴールでしょう」

小川氏を支援した山崎元自民党副総裁は、自民党が推薦した新人の武内氏の落選が確実になったことについて「やはり選挙は県民の民意を無視した形で押し通そうとしたら、強力なしっぺ返しを受ける。オウンゴールでしょう」と述べました。

一夜明けて…

当選から一夜明けて、小川知事は、8日朝8時から福岡市中央区の知事公舎で記者団の取材に応じました。

当選を報じる新聞に目を通した後、小川知事は「県民の期待の大きさ、重さをひしひしと感じ、福岡県のよりいっそうの発展のために全力を尽くそうと決意を新たにしている。誰もが住み慣れた地域で働く、暮らす、子どもを産み育てることができる地域社会づくりをしっかりやっていきたい」と3期目の抱負を述べました。

また、県議会議員選挙で、公認と推薦を合わせて過半数を確保した自民党との今後の関係について「これまで、県の発展、県民の幸せという共通の目標に向かって協力、連携してきた。これからもそうしたいと思っていて、そのための努力をしていきたい」と述べ、福岡県の発展のため、自民党とも協力していきたいという考えを示しました。

また、対立候補の擁立を主導した麻生副総理兼財務大臣との今後の関係について「今回、図らずもこういう形の選挙になってしまったが、私はもともと、麻生副総理に仕え、また尊敬している。この福岡県にとっても大事な政治家で、県民のためにどうしたらいいか、それを第一に考えていきたい」と述べました。