クハラ、ひどすぎ!
怒りの女性議員体験談

日本には「地方議員」が3万人もいることをご存じですか?
今回、その全員に初めてのアンケートを行いました。回答してくれたのは2万人近く。NHKでは1か月にわたって、そのホンネを伝えるキャンペーンを展開します。

今回は、「セクハラ」「パワハラ」に対する、怒りの声です。

普通にセクハラやパワハラがある

「パワハラ、セクハラが普通にあり、議会のレベルが低いように思う」(年齢不明・女性議員)
「パワハラ・セクハラ・モラハラ等一冊の本が書けるほどあります」(50代女性議員)
「男性議員からのセクハラは酷いので、いつか必ず表沙汰にしようと思う」(50代女性議員)

女性議員からの怒りの声が次々と届きました。
40代の女性議員は、周りもおかしいと訴えます。
「セクハラパワハラ議員はやめてほしい。本人も周りも気づかないふりをしているが、世間からはおかしい。子育て議員に理解ある対応をしてほしかった」

コンパニオンじゃない!

40代の女性議員からは、こんな扱いをされたと。
「飲み会の席でコンパニオンのような扱いをされた(今は断っています)」

70代の女性議員からも。
「田舎は男性社会なので、数少ない女性議員はどこも大変です。セクハラやイジリ発言は後を絶たず、特に高齢男性議員は抗議しても改善されない。女性議員は無料のコンパニオンではない」

男性議員からも声が

50代の男性議員からも声が上がっています。
「議会は耳と口を持ち、市民に寄り添い、その声を聞き、自らの良心とともに行動すべきです。長くともきちんと正対し、百年の計を見据えた志で判断していくことが求められています。しかしながら現実は、議会ごっこや足の引っ張り合い、名誉欲や私利私欲、はてはセクハラ・パワハラと、市民に対して胸を張って誇れる所ではありません」

70代の男性議員も、議会で嫌な気分になることがあるようで。
「セクハラ的言動も見うけられ、非常に気分を害している」

会社じゃないから、通報窓口がない!

会社なら、最近では「セクハラ通報窓口」を設置してあるところも多いと思います。でも議会だと…
そんな40代女性議員の嘆きです。
「セクハラを言う人はそれがセクハラという意識がない。会社と違ってセクハラに対処してくれるところがないい。女性議員への軽視発言がある」

でも、セクハラ発言減りました!?

50代の女性議員は、自分の存在がセクハラ減少に貢献できているのではないかといいます。
「今まで男性議員ばかりだったので議員控室でのセクハラ発言が、私が議員になった当初にくらべて減ってきたことが少し進歩したと思う。(にこやかに、やんわりと「それセクハラ発言ですよ」と注意している)」

いや、でもやっぱり変わっていない、という60代の女性議員も。
「女性が増えて議会も変わってきている。それでもセクハラ議員はいる!」

発言できなくなった男性議員も

発言が減少した背景には、こんなことがあるのかも、と想像してしまう70代男性議員の記述です。
「パワハラ、セクハラに対する認識にずれを感じます。おそれて発言をしなくなっています。SNSに平気で書き込む議員が増えてきていますのでSNSの扱いに戸惑っています。良い対策が見つけられません」

ひどいセクハラ、有権者からも

セクハラ、パワハラは議員どうしとは限りません。
ある女性議員の、強烈なセクハラを受けているという訴えです。
「有権者のセクハラ・パワハラ・ストーカーの対応が大変。立場が弱者(強く言えない)
パワハラ→言う事きかないとお前に票を入れてやらない、地元のルールに反したらいつでも落としてやる、など
セクハラ→服を脱がされる、両脇をかかえて両方から(※中略)おれの女になれ、一晩どうだ、など
ストーカー→SNSでしつこく連絡を迫られる、飲み会の誘い必要以上に多い、など
苦労してます…」

セクハラ・パワハラ。議会はむしろ、それを社会からなくすための方策などを議論する場です。それが、議員にも起きているなんて…。今回のアンケートでは、有権者によるセクハラ・パワハラが「ある」「ある程度ある」と答えたと議員は10%余り、議員によるセクハラ・パワハラが「ある」「ある程度ある」と答えた議員は14%余りいました。

理不尽なパワハラも

パワハラもひどい、という議員からの怒りの声です。
「『お前をつぶすのは簡単だ』という上層部。ひどいパワハラでした。私だけでなく、上層部の保身のためにつぶされていった優秀な人たちが大勢います。理不尽で、悔しいことが多く、涙があふれて眠れない日々もありました。ここを変えたいです」

別の議員は、こんな体験も。
「同僚議員からのパワハラがあった。小学校でもあったことがない、言葉いじめにあった。議会にも行けなくなるくらい、怖い。震えたりした時もあった。今は、こういう人だったとわり切って、かわいそうな人でもあると感じてきた」

議会改革にも影響する!

30代の男性議員は、議会改革にも関わる問題だと指摘します。
「有権者、同僚議員、行政職員に『若い』『女性』へは失礼があってもよいと考える人もおり、パワハラ、セクハラが必ずついてまわります。そのため、せっかく当選しても長く続けられず、女性の声、若い世代の声が行政に届きにくいまま、改善されることがありません。このあたりの課題をクリアにしないと議会改革は難しいと考えます」

40代の女性議員も、女性議員がやめてしまうと。
「選挙で当選しても、地方議会の古参議員のパワハラ的言動、議会事務局の機能不全、見えざるセクハラ、議員の職業の多忙、女性議員はこのままでは政党の保護なくして生まれないし、いなくなります」

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寄せられた声をもとに、記事は随時更新していきます。一旦、集計は終了しましたが、ご意見は今後も参考にさせていただきますので、まだ回答されていない議員のかた、お待ちしております。
また、議員の方だけでなく、読者の皆様にも、地方議会の課題についてのご意見をいただきたいと思います。下の画像をクリックしていただけると、「ニュースポスト」が開きます。そちらにぜひ、「議員アンケートについて」などと書いて、投稿をお願いします。

【全議員アンケートについて】
NHKは、今年1月から3月にかけて、全国1788の都道府県・市区町村の議会と、所属する約3万2000人の議員全てを対象とした、初めての大規模アンケートを行いました。議員のなり手不足など、厳しい状態に置かれている地方議会の現状を明らかにし、「最も身近な民主主義」である議会のあり方について、有権者一人一人に考えていただく材料にしてもらおうというのが趣旨です。
約60%にあたる1万9000人余りから回答が寄せられています。集計結果をもとに、テレビ番組や特設サイト、そして週刊WEBメディア「政治マガジン」などで、統一地方選が終わる4月末にかけて「議員2万人のホンネ」と題したキャンペーン報道を行っていきます。4月27日には、午後9時から「NHKスペシャル」の放送を予定しています。

アンケートの集計結果はこちらから。
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統一地方選の候補者紹介や選挙結果はこちらから。