治体へのペナルティー
ではない」石田総務相

国から自治体に年2回交付される特別交付税の今月分の交付額が決まり、ふるさと納税の寄付金が多額になっている大阪 泉佐野市など4つの自治体は、交付税に頼らずに財政運営できる自治体と同じ程度の財政力と見なされ、大幅に減額されることになりました。

特別交付税は、12月と3月の年2回、自然災害で被害などがあった自治体に交付されるもので、3月分の交付額が22日の閣議で報告されました。

総務省は、今回の決定にあたって、ことし1月までのふるさと納税の寄付金の見込み額を地方税収に加えた形で算定を行った結果、大阪 泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4つの自治体は、交付税に頼らずに財政運営できる自治体=不交付団体の平均的な財政力を上回ると判断しました。

その結果、不交付団体と同様に、災害関連経費以外は交付しないことにし、
▽泉佐野市は去年の同じ時期に比べて1億9500万円減って6200万円、
▽小山町は7400万円減って0円、
▽高野町は2億3300万円減って2000万円、
▽みやき町は2億900万円減って200万円となりました。

石田総務大臣は閣議のあとの記者会見で、「財源配分の均衡を図る観点から行ったもので、過度な返礼品などを贈る自治体へのペナルティーという趣旨ではない」と述べました。

大阪 泉佐野の寄付額は360億円に達する見込み

今回、特別交付税を大幅に減額された大阪 泉佐野市は、総務省からの要請に反発する形で、返礼品のほかに、アマゾンのギフト券100億円分を提供する独自の取り組みを行い、今年度の寄付額は360億円に達する見込みであることを明らかにしています。

また、静岡県小山町は、去年12月末までの時点で、およそ249億円に上っています。

総務省は、これらの金額から、返礼品の仕入れ額や寄付金を呼びかける広報費などの経費として2分の1を引いた額を地方税収に加えた形で算定を行ったということです。

大阪 泉佐野「しっかりと対応」

ふるさと納税の寄付金が多額になっているとして国からの特別交付税が大幅に減額されることについて大阪 泉佐野市は「総務省から、まだ正式な連絡は来ておりません。本市としては、このことを厳粛に受け止め、市政運営や市民サービスに影響を及ぼさないよう、しっかりと対応していきたいと考えております」というコメントを出しました。

ふるさと納税をめぐって、泉佐野市は、返礼品のほかに、アマゾンのギフト券100億円分を提供する独自の取り組みを行っていて、今年度の寄付額については、先月下旬の段階で昨年度の3倍近い360億円に達する見通しを明らかにしています。

静岡 小山町「厳しい結果」

ふるさと納税の返礼品としてアマゾンのギフト券などを提供して批判を受け、特別交付税が0円に減額されることになった静岡県小山町は「予算割れをしてしまうことになる。総務大臣から強く批判されていたので、ペナルティーがあるとすれば特別交付税だと考えていたが、厳しい結果として受け止めている」と話しています。

小山町では、先月からギフト券の取り扱いをなくし、地元でとれた米や町内に工場を持つ企業が生産した家電など、寄付額の3割以下のものを返礼品として用意しているということです。

和歌山 高野町「減額するのは少しやりすぎ」

国からの特別交付税が大幅に減額されることについて、和歌山県高野町の平野嘉也町長は「特別交付税の使いみちは、地域医療や公共交通の整備など住民の生活に直結している。総務省が作った制度の中で、住民だけでなく観光客にもふるさと納税を還元するよう頑張ってきたにもかからず、特別交付税を減額するのは少しやりすぎではないか。今後の議論の中では地方自治体の意見も聞いてもらいたい」と話しています。

高野町では、ふるさと納税の寄付額が平成29年度はおよそ2億円でしたが、今年度は去年12月の時点でおよそ73億円と増えていました。

寄付額が増えた背景には、返礼品の中に寄付額の半額に相当する旅行券や缶ビールやゴルフボールといった町で生産されていないものも含まれていたことがあり、旅行券が特に人気を集めていたということです。

一方、町では、国がふるさと納税制度の見直しを進める中、ことし1月に旅行券を贈ることを取りやめたほか、缶ビールとゴルフボールについても今後、取りやめることも含め検討しています。

佐賀 みやき町「明確な基準を示すべき」

佐賀県みやき町は、これまで、掃除機などの電化製品や旅行券など必ずしも地場産品ではない物もふるさと納税の返礼品としてきました。

今回、特別交付税が2億900万円減って200万円に減額されたみやき町の末安伸之町長は「特別交付税の減額は想定はしていたが、事前の連絡はなく、余りに唐突で、なぜ4つの自治体が減額となったのか明確な基準を示すべきだ」と話しています。

みやき町は、ことし1月に返礼品の見直しを進めた結果、現在は総務省が示す返礼品の調達価格を寄付額の3割以下という基準に従っているということです。