方四島の帰属の問題」
表現使わず「不法占拠」も

「北方領土の日」の7日、返還を求める全国大会が都内で開かれ、安倍総理大臣は、領土問題を解決し、平和条約の締結を目指す考えを強調する一方、これまでとは異なり「北方四島の帰属の問題」などの表現は使いませんでした。ロシア側で反対の動きなどが出る中、平和条約交渉の進展に向けた環境整備を図るねらいもあったものとみられます。

「北方領土の日」は、1855年2月7日に北方四島を日本の領土とする条約がロシアとの間に結ばれたことにちなんで定められ、毎年、元島民らも参加して返還を求める全国大会が開かれています。

7日の大会で、あいさつに立った安倍総理大臣は、北方領土問題について「戦後73年以上残された課題の解決は容易ではないが、やり遂げなければならない」と述べました。

そのうえで、「日本国民とロシア国民が互いの信頼関係をさらに増進し、相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を力強く進め、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉を進めていく」と述べ、北方領土問題を解決して平和条約の締結を目指す考えを重ねて強調しました。

一方で、安倍総理大臣は、これまでのあいさつでは「北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結する」という表現を使ってきましたが、7日は「北方四島の帰属の問題」などの表現は使いませんでした。

また、北方四島の返還実現を目指して採択された大会アピールでも、従来盛り込まれてきた「不法に占拠され」などの文言は使われませんでした。

ロシアとの平和条約交渉をめぐっては、ロシア側で反対の動きなどが出ていることから、安倍総理大臣としては、交渉の進展に向けた環境整備を図るねらいもあったものとみられます。

外相「祖父の思い引き継ぎ尽力」

河野外務大臣もあいさつし、「1956年の日ソ共同宣言には、私の祖父・一郎が日本政府の全権代表の1人として署名をした。その思いを引き継ぐ者として、そして、交渉責任者として、一層尽力していく」と述べました。

一方、河野大臣は、去年の大会では「北方領土はわが国固有の領土だ」と発言しましたが、7日はこうした表現は使いませんでした。

西村官房副長官「日本政府の立場に変わりない」

西村官房副長官は午後の記者会見で、北方領土の返還を求める全国大会で安倍総理大臣が『北方四島の帰属の問題』などの表現を使わなかったことについて「北方領土はわが国が主権を有する島々であるというのが日本政府の立場で、この立場に変わりはない。政府として領土問題を解決して、平和条約を締結するとの基本方針のもと、ロシア側と引き続き粘り強く交渉していく方針だ」と述べました。

また、西村官房副長官は、大会で採択されたアピールで従来盛り込まれてきた『不法に占拠され』などの文言が使われなかったことについて「大会は民間団体および内閣府によって構成される実行委員会が主催している。あくまでも民間主導で行ってきており、政府はその自主性を最大限尊重するという方針をとっていて、アピールの内容にコメントすることは差し控えたい」と述べました。

共産 志位委員長「これまでの主張から大後退明らか」

共産党の志位委員長は記者会見で、「安倍総理大臣は、『固有の領土』と言わず、『不法占拠』とも言わない。自民党の『四島は固有の領土で、不法占拠はけしからんことだから返せ』という、これまでの主張から大後退しているのは明らかだ」と述べました。

希望 松沢代表「プラスアルファの交渉 やむをえない」

希望の党の松沢代表は記者会見で、「法的に四島返還が正当だとしても、交渉が進まなければ、ロシアの実効支配が一層強化される。2島の確実な返還を前提に、プラスアルファを獲得するような交渉もやむをえない。プラスアルファは、『国後島と択捉島も継続して協議する』というところまでとれたら、満点に近い」と述べました。

ロシアメディア「日本の譲歩」

北方領土の返還を求める全国大会で安倍総理大臣が「不法に占拠」という表現を使わなかったことについて、ロシアのメディアは「日本の譲歩」と伝えています。

このうち、国営のロシア通信は「東京で開かれた『北方領土』返還を求める大会で、『不法占拠』という表現を放棄した」と速報で伝えました。

そのうえで、「日本側は四島返還を要求したうえで、平和条約を締結するという公式の立場を今のところ変えておらず、日本の大きな譲歩だ」と伝えています。

また、国営のロシアテレビの東京特派員は「安倍総理大臣は厳しい表現を控えた。これまでは『不法占拠』や『四島返還』といったことばが必ず使われていたが、今回はなかった」と中継で伝えました。