大半マイナス「機械的に
割り戻す前提ではその通り」

5日の衆議院予算委員会で、根本厚生労働大臣は、野党側が、去年1月から11月までの実質賃金の伸び率を独自に集計したところ、大半がマイナスとなったことについて、「機械的に割り戻すという前提ではおっしゃられたとおりだ」と述べ、一部、認めました。(映像は資料)
国民民主党の玉木代表は、厚生労働省の統計不正問題を受けた雇用保険などの追加給付について、「最後の1人まで本来払うべき額を、およそ2000万人の方にしっかり払うのかの決意についてうかがいたい。最後の1人までしっかりと給付を行うということを明言してほしい」とただしました。
これに対して安倍総理大臣は「本来支払われるべき給付については、しっかりと万全を期して対応させてもらいたい。完全にこちらがすべての方々を把握できているわけではないので、把握していない方々については、問い合わせしてもらえれば直ちに全力で対応していくことにしているところだ」と述べました。
一方、根本厚生労働大臣は、野党側が、去年1月から11月までの実質賃金の伸び率を独自に集計したところ、大半がマイナスとなったことについて、「機械的に消費者物価指数で割り戻すということで出されたことについては、その前提のかぎりにおいては、おっしゃられたとおりだ」と述べ、一部、認めました。
そのうえで、同様の条件による政府の集計結果を示すよう求められたのに対し、「専門家も含め、検討している」と述べました。
また根本大臣は、野党側が、更迭された厚生労働省の統計担当の大西康之前政策統括官の参考人招致を強く求めていることについて、「隠すつもりは毛頭ない。厚生労働省の統計に関することは、国会答弁も含めて新たに任命された統括官が対応することが適当だと考えているが、前の統括官に答弁を求めるかどうかは国会で決めてほしい」と述べました。
一方、麻生副総理兼財務大臣は、少子化問題に関連して「子どもを産まなかったほうが問題だ」と述べたみずからの発言をめぐり、「不快に思われた方がいるのであれば、その点に関しておわび申し上げます」と述べ、陳謝しました。
国民 玉木代表「政府の不誠実な対応に怒り」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「安倍総理大臣は、聞いたことには答えず、聞いていないことをだらだらと長くしゃべり、これでは真相が究明できない。政府の不誠実な対応に非常に怒りを感じる。新年度予算案の審議に入るまでに、失われたデータなどを、しっかりと明らかにしたい」と述べました。
自民 関口参院国対委員長「衆院と同じく現職が答弁」
自民党の関口参議院国会対策委員長は、記者会見で、野党側が厚生労働省の統計不正問題で更迭された幹部職員の参考人招致を求めていることについて、「衆議院では『現職が参考人として答弁する』ということで対応しており、参議院でもそうした感じになる」と述べ、参議院予算委員会でも応じない考えを示しました。
そのうえで、「参議院では、あさって第2次補正予算案をしっかり成立させ、翌8日から衆議院で新年度予算案の審議に入れるよう全力で対応していく」と述べました。
大西前政策統括官とは
政策統括官は、中央省庁で局をまたがって横断的に政策を立案・遂行していくため設けられたポストで、厚生労働省では局長級の幹部2人をおくことができます。
大西康之前政策統括官は、厚生労働省で統計部門を担当し、人口動態や雇用、賃金に関する統計調査の計画策定や結果の公表などを取りしきってきました。
去年7月に就任し、不正発覚後は一貫して対応にあたり、「毎月勤労統計調査」の問題では、大西氏は、去年12月20日に根本厚生労働大臣に報告したほか、先月24日に行われた衆参両院の厚生労働委員会の閉会中審査で答弁も行いました。
しかし、労働者の賃金の実態を雇用形態や職種ごとに調べる「賃金構造基本統計調査」が、本来決められた手法で行われていなかった問題をめぐり、部下からの報告で不正を認識していたにもかかわらず、政府が先月行った基幹統計に関する一斉点検には報告していませんでした。
こうした対応の不手際を問われ、今月1日付けで大臣官房付に異動し、更迭されました。