会答弁も新たに任命
された統括官が対応」厚労相

安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、厚生労働省の統計不正問題について、今後の特別監察委員会による事実の検証や実態の解明は、厚生労働省の職員の関与を極力排除した形で行われることが望ましいという認識を示しました。一方、立憲民主党は、更迭された厚生労働省の統計担当者の委員会への参考人招致が認められなかったことを厳しく批判しました。

4日の衆議院予算委員会は、午後も厚生労働省の統計不正問題をめぐって議論が交わされました。

公明党の高木美智代氏は「賃金偽装とかアベノミクス偽装という批判の声がある。GDPや最低賃金、また高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す『高度プロフェッショナル制度』が適用される労働者の最低賃金水準を1075万円と明記したが、そこへの影響はあるのか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「今回の事案によってGDPについて影響はないものの、それ以外のどのような経済指標に影響が及ぶかについては、現在、関係省庁で調査が行われており、まとまりしだい公表させる方針だ。なお『高度プロフェッショナル制度』の年収要件1075万円は、今回の修正によって影響を受けることはない」と述べました。

また、立憲民主党の長妻代表代行は「安倍総理大臣は、先週の本会議で、第三者機関の調査に独立性を高めるということを述べたが、具体的にどのように高めるのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「厚生労働省の特別監察委員会において、さらに事務局機能を含め、より独立性を高めた形で厳正に検証作業を進めてもらうこととしている。そのため、具体的な運営方法についても特別監察委員会で決めてもらうことが適当だと考えているが、事実の検証や実態の解明に関する部分については、職員の関与を極力排除した形で行われることが望ましい」と述べました。

また長妻氏は、更迭された厚生労働省の統計担当の大西康之前政策統括官の参考人招致が認められなかったことを厳しく批判したうえで、「与党に不利になるとか政府に不利になるという話ではない。実態解明をするキーマンであり、委員会に呼んでほしい」などと述べ、直ちに予算委員会の理事会で結論を出すよう求め、騒然となる一幕もありました。

これに関連して、根本厚生労働大臣は「大西前統括官は、職務を行わせることが適当でないと考えて異動させたので、厚生労働省の所管する統計に関することは、国会の答弁も含め、新たに任命された統括官が対応することが適当だと考えている」と述べました。

また根本大臣は、賃金の実態を雇用形態や職種ごとに把握する「賃金構造基本統計調査」の問題で、先月、基幹統計に関する政府の一斉点検の際に、不正を報告しなかった担当室長について、処分を含めて対応を検討する考えを示しました。

さらに根本大臣は、雇用保険などの追加支給に関連し、「現在は対象になるかどうかや、給付額に関する照会には答えられないが、システムを構築し対象者の特定や給付額の算定ができるようになった段階で、より詳細に案内をしていく。それまでの間は、雇用保険については、対象者本人が受給当時の賃金日額や給付内容を入力すれば、給付までのおおまかな目安を示すことができるようなツールの開発を検討している」と述べました。

そのうえで、根本大臣は「これまでに、厚生労働省の専用ダイヤルに、およそ6万3000件の問い合わせがあった。今後、問い合わせが大幅に増えた場合には回線数をさらに増やすことも含め対応していく」と述べました。