く忍耐を要する作業が
この先に」プーチン大統領

ロシアのプーチン大統領は、安倍総理大臣との記者発表で、平和条約の締結に向けて解決策を見いだすには時間がかかるとの見方を示したうえで、「課題は、両国関係を長期的、包括的に発展させ質の高いレベルにすることだ」と述べ、より一層の信頼関係が必要だという考えを強調しました。

ロシアのプーチン大統領は22日、安倍総理大臣との首脳会談の終了後、そろって記者発表に臨みました。

この中でプーチン大統領は平和条約交渉について、「安倍総理大臣とわたしはこの問題に長い時間を割いた。お互い条約締結に関心があることを再確認した」と述べ、日ソ共同宣言に基づいて平和条約を締結することに意欲を示しました。

ただ「交渉担当者が提案する解決策は、双方の国民が受け入れ可能で、支持されるものでなければならない」と指摘し、「双方が受け入れ可能な解決策を見いだすための条件を作り出すには、長く、忍耐を要する作業がこの先にあることを強調したい」と述べ、時間がかかるとの見方を示しました。

さらに、「課題は、両国関係を長期的、包括的に発展させ質の高いレベルにすることだ」と述べ、安全保障など幅広い分野でより一層の信頼関係が必要だという考えを強調しました。

また、プーチン大統領は両国の経済関係に関して、「進展はあるが、質を伴う大きな発展は見られない。数年以内に両国の貿易額を最低でも1.5倍にして、300億ドルに引き上げるという目標を設定することは可能ではないか」と述べ、日本との経済関係が抜本的に拡大することに期待を示しました。

一方、安倍総理大臣は、「戦後70年以上残された課題の解決は容易ではないが、日本国民とロシア国民が互いの信頼関係をさらに増進し、相互に受け入れ可能な解決策を見出すための共同作業を私とプーチン大統領のリーダーシップのもとで力強く進めていく決意を確認した」と述べました。

安倍総理大臣としては今回の会談で、平和条約交渉の条文作成作業の確認などもしたい考えでしたが、具体的な進展は見られず、今後、北方領土をめぐる立場の違いなどを埋めるための難しい交渉が続くことが予想されます。