土引き渡しの文言
ありえない」ロ親日派議員

ロシア議会下院で日本との関係発展を目指す「対日議員グループ」の代表を務める与党のシュレポフ議員は日ロ首脳会談を前に21日、NHKの取材に対して「私たちは平和条約を結び、日本と新しい関係を築くことには賛成だ」と述べ、平和条約の締結交渉に期待を示しました。

その一方でシュレポフ議員は、北方領土はロシアが第2次世界大戦の結果、得たものだと強調し、「ロシアにとって日本との領土問題は存在しない。平和条約で領土の引き渡しの文言が盛り込まれることはありえない」と述べました。

シュレポフ氏はたびたび日本を訪れて国会議員などと交流を重ねてきた親日派の議員ですが、日ロの平和条約交渉は北方領土問題とは切り離すべきだという厳しい姿勢を示した形です。

世論調査でも「反対74%」

去年11月の日ロ首脳会談で「平和条約を締結したあと歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意したことを受けて、ロシア国内では領土の引き渡しに反対する世論が高まっています。

ロシア側で北方四島を管轄するサハリン州の中心都市ユジノサハリンスクでは、島の引き渡しに反対する集会が先月から今月にかけて相次いで開かれました。

20日には首都モスクワでも北方四島の引き渡しに反対する集会が開かれ、およそ1000人が参加しました。

こうした集会に参加する多くは野党の支持者で、小規模にとどまっているものの、今後はロシア全土に広がる可能性も指摘されています。

さらに22日の日ロ首脳会談の当日には野党 共産党のモスクワ支部がモスクワの日本大使館の前で抗議集会を開くなど、圧力を強める構えを見せています。

ロシアの民間の世論調査会社「レバダセンター」が去年11月に行ったアンケート調査によりますと、北方領土のうちいくつかの島を日本に引き渡すことに「賛成」と答えたのが17%だったのに対して「反対」は74%に上り、4人に3人が反対しています。

ロシアでは以前から日本との関係を強化するため平和条約締結の必要性は認めるものの、島を日本に引き渡すことには反対する意見が根強く、プーチン大統領としては、世論の動向も気にしながら安倍総理大臣との平和条約交渉に臨むことになります。