軍機訓練の移転候補地
馬毛島160億円で買収契約へ

在日アメリカ軍の空母艦載機訓練の移転候補地となっている鹿児島県の馬毛島について、防衛省は、島の大半を所有する開発会社から約160億円で買収する契約を結ぶことになりました。

本土から南に約1200キロ離れた小笠原諸島の硫黄島で行われている在日アメリカ軍の空母艦載機の離着陸訓練について、政府は、艦載機の部隊が神奈川県の厚木基地から山口県の岩国基地に移転したことに伴い、岩国基地に近い、鹿児島県西之表市の馬毛島を移転候補地とし、防衛省が、島の大半を所有する東京都内の開発会社と買収交渉を進めてきました。

防衛省は、土地の価格を約45億円と鑑定し、地権者側が買い取り額として求めた数百億円と大きな開きがありましたが、訓練施設の移転を早期に実現する必要があると判断し、鑑定額に100億円以上上積みし、約160億円で買収することで地権者と大筋で合意しました。

防衛省によりますと、土地の権利関係を整理する必要があることから、正式契約には数か月かかる見通しだということで、政府は、引き渡しを受けたあと、自衛隊とアメリカ軍が共同で使用できる施設を整備する方針です。

防衛省は、買収額が鑑定額より100億円以上膨らんだことについて、硫黄島が本土から遠く離れておりアメリカ軍から、より近い訓練施設の整備を強く求められていたとして、理解を求めることにしています。

鹿児島県「国に説明求める」

これについて、鹿児島県の企画課は「まだ買収契約に関する情報は入っていない。訓練の移転については地元の意向が重要だと考えており、これまでどおり国に説明を求めていく」と話しています。

西之表市長「ふさわしい利活用のしかたがある」

鹿児島県の馬毛島に最も近い種子島の西之表市の八板俊輔市長は、「報道を受けて防衛省に尋ねたところ交渉中で確定していないと言われた。正式に決まる時が来ればその時にしかるべき対応を取りたい。以前から申し上げているが、馬毛島にはふさわしい利活用のしかたがあると考えているので、実現に向けて追求したい」と話しています。

屋久島町長「移転反対は変わらない」

鹿児島県の馬毛島の南に位置する、屋久島町の荒木耕治町長は、「詳しい情報が入っていないのでコメントできないが、移転に反対である姿勢は変わらない。戦闘機が大きな音を立てて近くを飛んでいくという状況は世界自然遺産の島にそぐわないと考えている。住民の意見も聞かなければならないし、地元の1市3町で改めて協議していくことになると思う」と話しています。

南種子町長「反対の気持ちは毛頭ない」

鹿児島県の馬毛島に最も近い、種子島の南種子町の名越修町長は「国はやっとここまでこぎ着けたかという感じだ。町民がどうかはわからないが、日米安保条約で決まっているので、国がやることに対して反対の気持ちは毛頭ない」と話していました。

種子島漁協組合長「国の説明待って対応」

鹿児島県の馬毛島で訓練が行われるようになれば、周辺海域での漁業制限が行われる可能性があります。

その場合、影響を受けることになる種子島漁業協同組合の浦添孫三郎組合長は「漁業者の間で賛否両論あるため、国の説明を待ったうえで対応を検討したい」と話しています。