元号「影響を最小限に
4月1日に発表」安倍首相

年頭にあたって安倍総理大臣は、三重県伊勢市で記者会見し、平成に代わる新しい元号について「国民生活への影響を最小限に抑える観点から4月1日に発表する考えだ」と述べ、ことし4月1日に閣議決定し、直ちに発表したうえで、皇太子さまが即位される5月1日に元号を改める考えを示しました。

会見の冒頭、安倍総理大臣は「平成最後となる新年にあたり、先ほど伊勢神宮を参拝し、皇室のいやさかとわが国の安寧、発展をお祈りした。ほぼ200年ぶりに皇位継承が行われる歴史的な1年の始まりに際し、いつにも増して身の引き締まる思いだ」と述べました。

そして、「5月1日には皇太子殿下がご即位され、改元が行われる。新しい元号はこれまで改元にあたって決定・公表されてきたが、今回は、国民生活への影響を最小限に抑える観点から、先立って4月1日に発表する考えだ」と述べ、平成に代わる新しい元号をことし4月1日に閣議決定し、直ちに発表したうえで、皇太子さまが即位される5月1日に、元号を改める考えを示しました。

また、新元号を定める手続きについて、「4月1日に元号を改める政令を閣議決定し、政令の公布は通常の手続きに従って行う考えだ。具体的にどのような過程を経て元号を選定するかは、平成改元時の手続きを踏まえつつ決めていきたい」と述べ、前回、平成への改元の際の手続きを踏襲する考えを示しました。

また、安倍総理大臣は政権の最大のチャレンジと位置づける、全世代型社会保障への改革について「わが国では少子高齢化が急速に進んでおり、まさに国難とも呼ぶべきこの課題に真正面から向き合い、未来への改革を進めなければならない」と述べました。

そのうえで「本年10月から幼児教育を無償化する。来年4月からは真に必要な子どもたちの高等教育も無償化し、十分な給付型奨学金を支給する。その財源となる消費税率の引き上げは前回の反省のうえに、本年いただいた消費税をすべて国民の皆様にお返しするレベルの十二分の対策を講じ、景気の回復基調をより確かなものとしていく」と述べました。

同時に「働き方改革の上にさらなる雇用制度改革を進める。そのうえで、医療・年金など社会保障制度全般にわたる改革の検討に入る。わが国の社会保障制度を子どもから子育て世代、現役世代、高齢者まで、すべての世代が安心できるものへと改革していく。本年はその力強いスタートを切る年、『全世代型社会保障・元年』だ」と述べました。

一方、外交について、安倍総理大臣は「保護主義への疑念が高まる世界にあって、日本はしっかりと自由貿易の旗を高く掲げ、新しい時代の公正なルールづくりをリードしていく」と述べました。

また、ロシアとの関係について「北方領土問題を解決して平和条約を締結する。事情が許せば、今月下旬に私がロシアを訪問し、平和条約交渉を前進させる考えだ。今こそ、戦後日本外交の総決算を行っていく」と述べ、北方領土問題の解決に強い意欲を示しました。

さらに憲法改正について「まずは具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じて、国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことが、選挙で負託を受けた私たち国会議員の責務であろうと考えている。国会において、与党、野党といった政治的な立場を越え、できるかぎり広範な合意が得られることを期待している」と述べ、憲法改正に向けて、国会で与野党を超えた合意が得られることに期待を示しました。

一方、安倍総理大臣は、ことし夏の参議院選挙に合わせて衆議院の解散・総選挙に踏み切る可能性について「『参議院選挙に合わせて衆議院選挙を行うのではないのか』という声が一部にあるということは承知しているが、私自身の頭には片隅にもない」と述べました。