学部不正入試で追加合格
募集定員減は最長6年かけて

医学部の不適切入試で追加の合格者を出した大学は、その分募集する定員を減らすことになりますが、文部科学省は受験生への影響を考慮して、来年以降、最長で6年かけて減らすことを認めると発表しました。

全国の大学医学部で相次いだ不適切入試の問題では、これまでに3つの大学で追加の合格者が出されていて、その分、来年募集する定員が減る可能性があるため、受験生の間では不安の声が出ています。

文部科学省は25日、来年の入試だけで募集定員を一度に減らせば受験生への影響が大きいとして、来年以降、最長で6年かけて減らすことを認めると発表しました。

来年の入試が迫っていることから、大学側は来月中に募集定員を減らす案を決めて、速やかに受験生に周知することになります。

柴山文部科学大臣は「教育環境の確保を条件に臨時的に認めることにした。受験生が安心して入試に臨めるよう、厚生労働省とも協力して適切に対応していきたい」と述べました。

募集人数少しずつ減らす 対象は9大学

医学部は全国で毎年定員が決められているため、今回追加合格者を出した大学がその分を募集人数から減らすと、来年の受験生に不利になると指摘されていました。

今回の措置では、それを緩和するため、追加合格者の分を来年の募集人数からすべて減らすのではなく、最大6年間をかけて募集人数を少しずつ減らすことを認めるとしています。

文部科学省が25日付けで通知を出したのは、不適切な入試を認めた9つの大学です。

内訳は、国立大学が神戸大学、私立大学が東京医科大学、順天堂大学、日本大学、昭和大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学、北里大学です。

「中長期的な医師の需給に影響ない」根本厚労相

根本厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「厚生労働省としては、受験生への配慮として一時的な定員超過を認めたとしても、2020年度以降に一定の期間調整をするということであれば、中長期的な医師の需給に影響を及ぼさないと考える。年明けに詳細に検討するが、受験生が来年度の入試に安心して臨むことができるよう、文部科学省と協力して適切に対応していきたい」と述べました。

“追加合格” 公表している大学は

不適切な入試によって追加合格者を出すことをすでに公表しているのは3つの大学です。

今回の文部科学省の通知について順天堂大学は「現在、追加合格者に対して入学意向を確認しており、結果が判明しだい、教育環境の確保などの観点を考慮して、通知に基づき、対応を検討します」とコメントしています。

また、東京医科大学は「詳細を把握していないため、コメントできません」としています。

さらに、日本大学は「現時点ではお答えできません」としています。