会議員の支部へ寄付は
許されると…」全額を返金

長崎県選出の谷川弥一衆議院議員が代表を務める自民党支部が、4年前、長崎県の補助金の交付が決定した企業から1180万円の献金を受けていたことがNHKの取材でわかりました。県の補助金を受けた企業が交付決定から1年以内に県知事などを推薦する政党に献金することは禁止されていて、支部は全額を返金したということです。

政治資金収支報告書などによりますと、谷川氏が代表を務める「自民党長崎県第三選挙区支部」は、4年前の平成26年3月に長崎県の補助金1億7000万円の交付が決定した長崎市の「谷川建設」から、翌年3月までに合わせて1180万円の献金を受けていました。

政治資金規正法では、県の補助金を受けた企業や法人が交付決定から1年以内に県知事や県議会議員を推薦・支持する政党などに献金することを禁止しています。

補助金の交付が決定した前の月には長崎県知事選挙が、翌年には県議会議員選挙が行われ、谷川氏は当時、自民党長崎県連の会長や自民党支部の代表として、知事選や県議選の候補を支援していました。

このため谷川氏の支部は全額を返金したということで、NHKの取材に対し「谷川建設からは毎年寄付を受けていて、その年に補助金を受けていたことを知らなかった。会社側も国会議員の支部への寄付は許されると理解していた。今後十分に注意していきたい」としています。

専門家「重要なのは税金の政治家側への還流を防ぐこと」

「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、「地方自治体から補助金の交付決定を受けた企業は、その自治体の議員を支持する団体への寄付が禁止されるが、国会議員関係の団体には寄付をしてもいいと誤解されているケースがあるのではないか。政治資金規正法の条文を素直に読めば、今回のように国会議員の政党支部であっても、自治体の首長や議員を支持していれば、寄付は制限されることになる。政治資金規正法は、補助金の性格によっても寄付が制限されないものがあるなどルールが複雑だが、重要なのは税金が政治家側に還流されるのを防ぐことで、そのためには法律を改正して補助金を受けた場合の寄付を一律に禁止するべきだ」と指摘しています。