国人材法案で参考人質疑
識者が多方面から意見

外国人材の受け入れを拡大するための法案をめぐり、参議院法務委員会では参考人質疑が行われ、「就労を正面から認める新たな一歩だ」として法案を評価する意見や、外国人の権利と尊厳を保障するための法整備の必要性を訴える意見などが出されました。

このうち、千葉大学名誉教授の多賀谷一照氏は、今回の法改正について、「技能実習制度とは別に、就労を正面から認める抜本的に問題点を改めようとするもので、転職や一時帰国を可能とする点で明確に異なる」と指摘しました。

そのうえで「就労資格ではない資格による逸脱的な労働者の確保が批判の対象となっており、いつまでも放置できないという意味から、新たな一歩を踏み出す政治的判断だ」と述べました。

一方、大阪大学大学院准教授の高谷幸氏は、今回の法案審議について「あまりにも短い時間でしか審議されないことなど残念に感じた。選挙権のない外国籍の人たちの生活に大きな影響を与える法案だからこそ、より公正で慎重な審議をお願いしたい」と述べました。

そのうえで「外国人が人間として暮らせるための権利と尊厳を保障しなくてはならず、外国人住民基本法、差別禁止法など、多文化共生社会のインフラが必要だ」と訴えました。

あす首相出席して質疑で合意
参議院法務委員会は、参考人質疑が終わったあと、理事懇談会を開いて法案の審議日程を協議しました。

その結果、6日午前10時から合わせて6時間の質疑を行い、午後の質疑には安倍総理大臣が2時間出席することで与野党が合意しました。
自民 福岡氏「採決は調整して提案」
参議院法務委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の福岡資麿氏は記者団に対し、「安倍総理大臣の出席は、野党側の要請も踏まえ、参議院らしい審議をしようと判断した。法案の採決については、会期末でもあり、さまざまな調整を進めていく中で提案していくことになる」と述べました。
立民 有田氏「どんどん疑問が出てくる法案」
参議院法務委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の有田芳生氏は記者団に対し、「どんどん疑問が出てくる法案だ。あすは安倍総理大臣の拙速な思いを問いたださないといけない。がらんどうの問題を抱えた法案で、『時間が来たら、審議は終わり』というわけには絶対にいかない」と述べました。