院憲法審査会が初開催
立憲・国民など反発し欠席

衆議院憲法審査会は29日、今の国会で初めて開かれ、自民党の新しい幹事が選任されました。一方、立憲民主党や国民民主党などは、与野党の合意がないまま開催が決まったことに反発し審査会を欠席しました。

衆議院憲法審査会は、与野党の調整がつかず、開かれていませんでしたが、自民党の森会長が開催を決め、29日、今の国会で初めて開かれました。

しかし立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党、それに衆議院の会派「無所属の会」の野党6党派は、「議論できる環境になく、与野党の合意がないまま開催が決まったことは認められない」などと反発し、欠席しました。

その結果、審査会は、自民・公明両党と、日本維新の会、希望の党、それに衆議院の会派「未来日本」が出席して、予定よりおよそ30分遅れて始まり、自民党の新藤元総務大臣ら、新たな幹事の選任のみを行って、数分で終了しました。

自民党は、今の国会で、憲法審査会に「自衛隊の明記」など4項目の党の憲法改正案を提示することを目指していますが、野党側は反発を強めているうえ、会期は来月10日までで日程も限られているため、提示は困難な情勢となっています。

自民 新藤氏「改憲案提示諦めず追求」

衆議院憲法審査会の与党側の筆頭幹事に就任した、自民党の新藤元総務大臣は、記者会見し、「憲法審査会の開催は、国民への責任を果たす意味がある。一部野党の出席が得られなかったことは残念の極みだ。今後は、謙虚に、丁寧に、野党の意見を聞いて、憲法の議論が深まる環境が作れるよう努力したい」と述べました。

また新藤氏は、自民党が目指している「自衛隊の明記」など4項目の改正案の提示について、「あらゆる可能性を追求したい。4項目の改正案は、すでに公表されているので、憲法審査会でも議論の中に入れてもらいたい。最後まで諦めず追求したい」と述べました。

自民 下村氏「改正案提示 断念せず」

自民党の下村憲法改正推進本部長は、記者団に対し、「野党各党が賛同したうえで憲法審査会が来週、開かれるよう、さらに頑張ってもらいたい」と述べました。

そのうえで、憲法審査会での「自衛隊の明記」など4項目の党の改正案の提示について、「断念することはない。憲法審査会で、自由討議が行われ、その場で党の改正案が発表できることを最後の最後まで期待したいし、それに向けて努力したい」と述べました。

公明 北側氏「拒絶はおかしい」

公明党の北側憲法調査会長は記者会見で、「憲法審査会は極めて重要な機関で、幹事の選任もできない状況が続くのは異常だ。出席できない理由はなく、拒絶しているのはおかしい」と述べました。

一方、先の国会から継続審議となっている国民投票法の改正案について、「ぜひ審議をお願いしたい。憲法審査会では、趣旨説明しかしておらず、せめて質疑くらいして、次の国会で、即、採決ができればいい」と述べ、今の国会での成立は、見送らざるをえないという認識を示しました。

また北側氏は、自民党が今の国会で憲法審査会に4項目の改正案の提示を目指していることについて、「審査会の内容は、与野党の筆頭幹事の間で協議されるので、その協議に委ねたい」と述べるにとどめました。

共産 志位氏「官邸主導の暴挙を自民が告白」

共産党の志位委員長は記者会見で、「与野党の合意のうえでの運営という最低限のルールが乱暴に踏みにじられた。野党の抗議に対し、自民党の国会対策委員長が『コントロールが効かず、申し訳ない』と述べたということは、『官邸主導で暴挙が行われたことを自民党が告白した』ということだ。来年の参議院選挙で厳しい審判を下し、一刻も早く、安倍政権を退陣に追い込むのが私たちの回答だ」と述べました。

維新 馬場氏「欠席の会派は出て意見を」

衆議院憲法審査会のメンバーの日本維新の会の馬場幹事長は記者団に対し、「欠席した会派は職務怠慢と言われないよう、審査会に出てきちんと意見を述べてほしい。審査会の会長代理は野党第1党から選出されているが、円満に開催する努力を全くせず、逆に開会を妨害する側に立っており、会長代理を務める立憲民主党の山花憲法調査会長は役職を辞めてもらいたい」と述べました。

立民 辻元氏「来週やりましょうと言ったのに」

立憲民主党の辻元国会対策委員長は、記者団に対し、「『安倍政権の横暴極まれり』だ。安倍総理大臣が、与野党の合意や国民との合意がない改憲に向けて牙をむき出したことに非常に懸念を持っている。もう一度、信頼関係を作り直し、『来週やりましょう』と自民党に言い続けてきたが、きょう強引にやったのは残念でならない。なぜそんな愚かなことをしたのか、身震いするくらい際立つ横暴さだ」と述べました。

国民 原口氏「審査会の歴史と伝統を壊すもの」

国民民主党の原口国会対策委員長は記者会見で、「憲法審査会は与野党の合意のもと、静かな環境で議論を積み重ねてきた歴史があるが、その歴史と伝統を根本から壊すものだ。国会や国民を見ておらず、安倍総理大臣のほうだけを見ているのではないかと抗議したい」と述べました。

社民 吉川氏「与党はルビコン川渡った」

社民党の吉川幹事長は、記者会見で、「憲法をめぐっては立法府での合意が、はるかに重要になるが、与党側は、ルビコン川をついに渡った。許しがたい暴挙で、静かな環境で議論するということが損なわれたと言わざるをえない。『自民党の改憲案の説明は絶対に許さない』という立場で、野党は連携して対応していきたい」と述べました。