城沖縄県知事と安倍首相
会談で意見隔たり埋められず

アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐって、安倍総理大臣と沖縄県の玉城知事が会談し、玉城知事が、移設計画の中止を求めたのに対し、安倍総理大臣は、普天間基地の全面返還に向け計画への理解を重ねて求め、意見の隔たりを埋めることはできませんでした。

アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐって、政府と沖縄県は、今月9日から今月末を期限に杉田官房副長官と謝花副知事との間で協議を続けてきていて、28日、最後となる4回目の協議を行いましたが、話し合いは平行線で終わりました。

このあと安倍総理大臣は総理大臣官邸で、沖縄県の玉城知事と先月12日に続いて2回目となる会談を行いました。

この中で玉城知事は、「先の沖縄県知事選挙で示された圧倒的な民意を受け止めてほしい」などと述べ、普天間基地の危険性の除去と移設計画の中止を求めました。

これに対し、安倍総理大臣は、普天間基地の全面返還に向け移設計画への理解を重ねて求め、意見の隔たりを埋めることはできませんでした。

そして、安倍総理大臣は、「杉田官房副長官と謝花副知事との協議はいったん終わりにし、おりを見てこのような話し合いの場を設けたい」と述べ、今月9日から続けてきた協議を終え、必要に応じて話し合いを続けることを提案しました。

会談のあと玉城知事は、記者団に対し「沖縄県民には、不自由、不平等、不公正の不満がうっせきしているので、政府には、しっかりと責任をもってもらう必要がある」と述べました。

官房長官「隔たり大きく一致せず」

菅官房長官は午後の記者会見で、「きょうの面会では、双方でアメリカ軍普天間基地の危険性除去が必要だと確認したが、辺野古移設についての考え方は隔たりが大きく、一致には至らなかった」と述べました。

そのうえで、「政府と沖縄県とが今後もさまざまな形で意見交換を行っていくことが大切だということで一致した。今回の話し合いは終了だが、政府と沖縄県との間では、『政府・沖縄県協議会』や『普天間飛行場負担軽減推進会議』など、協議の場が設けられているので、沖縄県からの要望を伺いながら、引き続き、そのような場を通じて話し合いを続けていく」と述べました。

一方、菅官房長官は、記者団が、普天間基地の名護市辺野古への移設の賛否を問う県民投票が移設計画に与える影響について質問したのに対し、「どのような形で行われるかわからないが、全くないと思う」と述べました。

公明 石田政調会長「会って話すことが大事」

公明党の石田政務調査会長は記者会見で、「安倍総理大臣と沖縄県の玉城知事が、率直に意見交換することは非常に有意義だ。すぐに100%意見が一致することはないだろうが、まず会って話をすることが大事で、回数を重ね、議論を積み重ねていけばいいのではないか」と述べました。

今後は

政府と沖縄県の協議が平行線に終わったことを受け、沖縄県は、速やかに、国と地方の争いを調停する国地方係争処理委員会に審査を申し出る方針です。

また、沖縄県は、名護市辺野古への移設の賛否を問う県民投票を来年2月24日に実施することにしており、移設反対の民意を改めて示し、政府に移設断念を求めたい考えです。

一方、政府は、年内にも埋め立て予定地への土砂投入を開始するため、現場での準備作業を急いでいます。

今後、土砂投入をめぐって、国と県の対立がさらに深まることも予想されます。