「ハードル高いものに」
外国人受け入れで安倍首相

国会では参議院予算委員会で質疑が始まり、安倍総理大臣は外国人材の受け入れを拡大するための法律の改正案をめぐって、新たな制度で日本の在留資格を得たとしても、直ちに永住権が認められることにはならないという考えを示しました。また、山下法務大臣は「日本人の雇用に影響しないような制度設計にしたい」と述べました。

この中で、立憲民主党の蓮舫 参議院幹事長は外国人材の受け入れを拡大するための法律の改正案をめぐって「日本で10年暮らして働いたら永住権の道がひらかれ、移民政策への入り口になるのではないか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「在留を続けることによって自動的に認められるものではない。ハードルはかなり高いものになる」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は「わが国での永住が認められるためには素行善良であること、独立の生計を営むに足る資産または技能を有すること、そして引き続き10年以上は国に在留していることなどの厳しい条件が課されている。特定技能の在留資格を得さえすれば、わが国での永住が認められるというものではないし、いわゆる移民政策ではない」と述べました。

また、山下法務大臣は「日本人の雇用には影響しないような制度設計をしたいと考えている。人手不足の状況を注視し、受け入れの段階でどうなるのか予測しながら、労働市場の動向をしっかり見ながらやっていく」と述べたうえで、受け入れる外国人の数の見通しについて、近日中に示したいという考えを示しました。

一方、自民党の山本参議院政策審議会長は、日本とアメリカが交渉を始めることで合意した、TAG=物品貿易協定をめぐり、「アメリカとの関係は大事だが、保護主義の色彩の強い数量規制や為替条項を入れると言ってきた時は、きぜんとして、はねのけるということでよいか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「為替については、私とトランプ大統領の2人で会話したときに、専門家である日米財務大臣間で緊密なコミュニケーションを行うことにしようと合意した。この合意は、トランプ大統領にずっと守ってもらっていると思っている。いずれにせよ、わが国として国益に反するような合意を行うつもりはない」と述べました。

公明党の西田参議院幹事長は、日銀による大規模な金融緩和を縮小する、いわゆる「出口政策」について、「安倍総理大臣は、『金融緩和の出口の道筋について私の任期のうちにやりとげたい』と表明したが、景気や市場への影響に配慮して、無理のない計画策定が課題だ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「私の発言は、再びデフレに後戻りしないという状況を作り出すために、安倍政権において、この3年でデフレ脱却の道筋をしっかりとつけるという趣旨で言ったものだ。出口戦略を含め、金融政策の具体的手法は、日本銀行に委ねられるべきだと考えており、私は、黒田総裁の手腕を信頼している」と述べました。

5日は、新閣僚への質問も相次ぎ、国民民主党の徳永政務調査会長代理は、政治とカネをめぐる片山地方創生担当大臣に関する週刊誌報道について、「口利き疑惑なども浮上する中、大臣就任をなぜ辞退しなかったのか」と質問しました。

これに対し、片山大臣は、「人事については、内閣総理大臣がお決めになることだ。記事にあるような、当該企業への違法な口利きや、その関連での100万円の要請や収受などは一切していない。司法の場にも提訴しており、これからも、しっかりと説明責任を果たしていきたい」と述べ、重ねて疑惑を否定しました。

また、桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣は、東京オリンピック・パラリンピック関連の予算などの質問に対して、たびたび答弁に窮し、審議が中断する場面もありました。

さらに、山下法務大臣は、外国人材の受け入れを拡大するための法律の改正案について、「リアルタイムで人手不足が深刻であり、この改正案の施行が半年遅れれば、もしかしたら、数万人の外国人が日本で働く機会のないまま帰国しなければならないし、雇用しようと考えている数万の企業にも影響があるかもしれない」と述べ、早期成立への理解を求めました。

補正予算案 7日の参院予算委で採決へ

参議院予算委員会のあと、理事会が開かれ、与野党は7日、委員会で災害からの復旧・復興に向けた今年度の補正予算案の採決を行うことで合意しました。与党側は、7日のうちに参議院本会議でも採決して、成立させたい考えです。