院予算委質疑
「普天間基地移設」など

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、防衛省が埋め立て予定地の現場での工事を再開させたことに沖縄県が反発していることについて、安倍総理大臣は、2日の衆議院予算委員会で、引き続き地元の理解を得る努力を続けながら、早期の普天間基地の全面返還を実現させたいという考えを強調しました。また、菅官房長官は来週、日程が合えば、沖縄県の玉城知事と会談し、意見を聞きたいという意向を示しました。

この中で衆議院の会派「無所属の会」の岡田代表は、社会保障制度の全世代型への改革について「人生100年の健康年齢に向けての対策として、糖尿病や認知症の予防などについて内閣を挙げて検討することは賛成だが、改革の本丸は給付と負担の見直しであり、ここから逃げては、社会保障制度の持続可能性は確保できない」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「給付する以上、当然、他方で負担があるわけなので、少子高齢化の中で、いかにこのバランスをしっかりと取っていくかが大切だ。同時に、平均寿命が伸び、健康寿命も伸ばしていく中で、それに対応した制度に変えていくことも重要であり、年金も含めたシステム全般にわたる改革を進めていく中で、給付と負担のバランスもしっかりと検討していかなければならない」と述べました。

共産党の赤嶺政賢氏は、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐって「政府は沖縄県の埋め立て承認撤回の効力を停止するため、法的措置に踏み切り、国土交通大臣は執行停止を決定し、きのう、海上での作業が再開された。県民の民意を一顧だにしない安倍政権の強権姿勢は断じて容認できない。話し合いになぜ応じなかったのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「政府と沖縄県との間では普天間飛行場負担軽減推進会議や政府・沖縄県協議会という協議の枠組みがある。政府としては、このような協議の枠組みを活用し、これからも基地負担軽減のための政府の取り組みについて粘り強く丁寧に説明していきたい。今後とも地元の理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現するため全力で取り組んでいく」と述べました。

日本維新の会の下地 国会議員団政務調査会長は、沖縄県の玉城知事が、普天間基地の名護市辺野古への移設を阻止するとしていることをめぐり、「菅官房長官が玉城知事と1回本気で話をしてみたらどうか。どういう考え方を持っているのか、本当に対案はないのか、1回ぜひやってみてほしいと思うが、どうか」と質問しました。

これに対し、菅官房長官は「玉城知事から面会の要請もあるので、来週、できれば、お互いに時間や日程が合えば、虚心坦懐に話を聞いてみたいと思っている」と述べました。

そのうえで、「沖縄基地負担軽減担当を兼務するにあたり、安倍総理大臣から指示があったのは、『できることはすべてやれ。目に見える形で実現をしろ』ということだ。最大の目的である普天間飛行場の危険除去と、固定化を避けることは、何としても実現をしたい」と述べました。

また、菅官房長官は、2020年の世界遺産への登録を目指し、沖縄本島北部などをユネスコ=国連教育科学文化機関に推薦することを決定したことについて「全米軍施設の約2割にあたる4000ヘクタールの返還できた地域について、地元の皆さんから国立公園に移行させて、世界自然文化遺産にしてほしいという強い要望があった中で採用した。ユネスコで認定されるように政府として全力で支援したい」と述べました。

また、安倍総理大臣は、片山地方創生担当大臣が政治とカネをめぐって一部週刊誌で報じられ、野党から罷免すべきだと求められたのに対し、「説明責任を果たし、与えられた職責をしっかりと果たしてもらいたいと期待している」と述べました。

片山大臣は「何ら隠していることはなく、与えられた職務を粛々ときちんと果たしていきたい」と述べました。