ンドのソフトと日本の
ハードで奇跡を」モディ首相

日本を訪れているインドのモディ首相は、都内で開かれた講演会で、企業関係者に対し「日本とインドの関係強化のため、できるだけの支援を約束する」と述べ、インドへの積極的な投資を呼びかけました。

モディ首相は29日午後、都内で開かれた講演会に出席し、日本とインドの企業関係者などおよそ700人を前に、みずからの経済政策について語りました。

この中でモディ首相は海外からの投資を促すため、インド国内のビジネス環境の整備に優先して取り組んできたとしたうえで、「急成長している経済や中間層など、インドは日本企業に幅広いビジネスチャンスを提供している」と述べ、大企業だけでなく中小企業の進出も歓迎する姿勢を強調しました。

またAI=人工知能やロボットなどの開発について、「インドのソフトと日本のハードが組めば、奇跡を起こすことができる」と述べ、この分野での連携は両国にとって大きなメリットだと訴えました。

そして「投資のさらなる加速をお願いしたい。日本とインドの関係強化のため、できるだけの支援を約束する」と述べ、積極的な投資を呼びかけました。

JETRO=日本貿易振興機構によりますと、日本からインドに対する投資額は去年およそ17億2300万ドルにのぼり、10年前に比べておよそ2.6倍に増えたということです。

経団連会長らとの昼食会では

モディ首相は29日、都内で経団連や日本商工会議所などが主催した歓迎昼食会に出席しました。

この中で経団連の中西会長は「日本企業がインドへ、またインド企業が日本へより一層進出を進めるべきだと考えている」と述べ、両国の経済関係のさらなる強化を呼びかけました。

これを受けて、モディ首相は「インドは製造業や物流、金融などでインフラ整備を進めてきた。日本からの投資はインドにとって極めて重要だ。世界に向けて自由貿易とイノベーションを推進するよう両国が力を合わせて働くべきだ」と述べました。

またこれに先立って、経団連とインド経済界の代表との会議が開かれ、日本とインド、それに中国やASEAN各国などが参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期実現を求めることなどで一致したということです。

安倍首相との会談では

モディ首相は29日夜、安倍総理大臣と12回目となる首脳会談を行いました。

会談では、中国の海洋進出を念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、両国の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2+2の設置など、安全保障分野の協力を強化していくことで合意しました。

また、日本の新幹線技術の導入が決まっているインド西部の高速鉄道計画やインド北東部の橋の建設などに3100億円余りを上限に円借款を行うことでも合意しました。

さらに、AI=人工知能など最先端技術の共同研究や、インドのIT人材の日本企業への就職の促進など、デジタル分野での連携強化や、金融市場の安定化に向けて互いの国の通貨を融通し合う「スワップ」と呼ばれる通貨協定を750億ドル規模で締結することで一致しました。

一方、両首脳はRCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期妥結が重要だという認識を確認し、これらの成果を盛り込んだ共同声明を発表しました。

安倍総理大臣は「日本とインドはビジネスでは、相互補完的な関係にあり、IT人材の交流などを通じて、世界的なイノベーションが起こることを期待したい」と述べました。

一方、モディ首相は「両国の経済的なパートナーシップは拡大しており、協力関係をすべての分野で進めていく」と述べました。

首脳会談のあと、インドのモディ首相は安倍総理大臣と共同で記者発表にのぞみ、「安倍総理大臣の別荘などで温かくもてなしてもらい、今回の訪問は心に残るものになった」と感謝のことばを述べました。

そして「きょう、共通のビジョンについて合意することができた。これで私たちの未来は輝かしいものになるだろう」としたうえで、「インドと日本の協力がなければ21世紀はアジアの世紀にならない。安倍総理大臣とともに日本とインドの関係を強化していこうと決意した」と述べました。