岸田首相 “今国会の会期内では衆議院を解散しない”

衆議院の解散をめぐって岸田総理大臣は、来週会期末を迎えるいまの国会では行わない考えを表明しました。一方、立憲民主党は、物価高に直面する国民に負担増を強いる政権を認めるわけにはいかないとして、内閣不信任決議案を16日に提出する方針で、与党側はただちに否決することにしています。

岸田総理大臣は15日夜、記者団に野党側から内閣不信任決議案が提出された場合の対応について、「先送りできない課題に答えを出していくという内閣の基本姿勢に照らして即刻否決するよう、自民党の茂木幹事長に指示した」と述べました。

そのうえで、いまの国会では衆議院を解散しないということかと問われたのに対し、「今国会での解散は考えていない」と表明しました。

与党内からは「国民に信を問う大義がなく、妥当な判断だ」との受け止めが相次ぐ一方、「野党の選挙準備が整っていない今がチャンスだったのではないか」といった声も聞かれます。

また、立憲民主党は「解散権をもてあそぶべきではなく、岸田総理大臣は国民を愚弄している」などと批判しています。

一方、立憲民主党は、物価高に直面する国民に負担増を強いる政権を認めるわけにはいかないとして、解散をめぐる岸田総理大臣の判断にかかわらず、16日に内閣不信任決議案を提出する方針です。

与党側は岸田総理大臣の指示を踏まえ、ただちに決議案を否決することにしています。

また、決議案の提出を「国会最終盤の季節行事だ」と批判する日本維新の会などは反対する見通しです。

国会では、16日の参議院本会議で、政府が最重要法案と位置づける、防衛費増額に向けた財源確保法案や、LGBTの人たちへの理解増進に向けた法案などが可決・成立する見通しです。

自民 茂木幹事長 “首相から指示 不信任決議案は粛々と否決”

自民党の茂木幹事長は、15日午後6時半ごろ、党本部で記者団に対し「今、岸田総理大臣から、内閣不信任決議案が提出された場合の対応について指示があった。『政策をしっかり前に進めるために、仮に決議案が出された場合は、粛々と否決するように』という指示だった」と述べました。

そのうえで「岸田政権として、さまざまな課題への取り組みを進めている途中にあり、それらをさらに前に進めることを最優先するという判断だと考えている」と述べました。

公明 山口代表「首相から電話 選挙より重要課題の解決」

公明党の山口代表は、「午後5時47分に岸田総理大臣から電話があり、『内閣不信任決議案が出されても、衆議院選挙を選ぶより、山積している内外の重要課題の解決を優先すべきと判断した』ということだった。衆議院議員の任期もまだ折り返しまでいっていないことや、少子化対策強化の具体策も国民に浸透していないことなど、諸般の事情を総合的に判断すれば、妥当な判断だ」とするコメントを出しました。

立民 泉代表 “早期解散は今後もありえる”

立憲民主党の泉代表は「岸田総理大臣から、いまの国会での衆議院解散はないとの発言があったが、早期解散は今後もありえる。気を引き締めて総選挙への準備を加速させたい。物価高で厳しい中、防衛増税や社会保険料の引き上げが進められようとしており、マイナンバーカードの混乱など 国民生活の課題も相次いでいる。引き続き、議論を尽くしていきたい」とコメントを出しました。