ガーシー参議院議員 懲罰処分 初当選からこれまで

ガーシー氏の議員初当選からこれまでをまとめました。
(肩書きは当時)

ガーシー・東谷義和参議院議員は、2022年7月に行われた参議院議員選挙の比例代表でNHK党から初当選しました。「ガーシー」を名乗った動画投稿サイト「ユーチューブ」での発信が話題を集め、選挙期間中は、SNSを使ったり、録音した音声を街頭で流したりして投票を呼びかけました。

当選した際「応援してくれた視聴者、フォロワー、国民のみなさまが本当に押し上げてくれた。当選して終わりではなく、これからがスタートだ。国会で寝ている議員を全員たたき起こす。こんな議員はいないというくらいやってやるつもりなので見ていてほしい」と述べていました。

選挙後、初の臨時国会も登院せず

参議院選挙で初当選したガーシー議員は、UAE=アラブ首長国連邦に滞在していて、2022年8月3日に召集された臨時国会を欠席しました。

ガーシー議員からは、海外渡航届が出されていましたが、臨時国会前日の2日に開かれた参議院議院運営委員会の理事会では、与野党双方から、「届けには帰国日が記載されていないなど説明が不十分だ」といった指摘が相次ぎ、ガーシー議員の海外滞在を全会一致で認めないことを決めました。

そして、NHK党を通じて、ガーシー議員に速やかに帰国し、国会に出席するよう求めていました。

当時、帰国しない理由について、NHK党の党首を務めていた立花氏は「本人は、警察が詐欺容疑などで不当逮捕する動きがあると主張している」と説明していて、7月29日の記者会見でも、臨時国会については「100%出てこない」と述べました。ガーシー議員は3日間の会期で開かれた臨時国会を無断欠席する形となりました。

2022年10月召集の臨時国会も欠席

海外への滞在を理由に、2022年10月3日に召集された臨時国会も欠席しました。

10月3日、参議院議院運営委員会の理事会は、NHK党の浜田政策調査会長を呼んで、石井委員長が速やかに帰国して出席するよう求める書面を手渡し、回答を求めました。

これに対し、浜田政策調査会長は10月5日、石井委員長に回答の書面を提出しました。

この中では、ガーシー氏本人に帰国して今の国会に出席する意思がないことを改めて確認した一方、翌年以降の国会には出席する可能性を示唆していることも確認したとしていました。
また、ガーシー氏が海外に滞在したまま当選したことは、現代の多様な価値観から生まれたものであり、国会や国会議員の在り方を、本質から見直す絶好の機会だとして、海外在住のまま議員として、政治活動を行うという意思を尊重し応援するとしていました。

欠席の理由は“海外でSNS利用し不正暴露”

参議院の議院運営委員会の石井委員長が、欠席の理由を書面で回答するよう求めたのに対し、ガーシー議員は、回答期限の12月23日までに書面を提出しました。

書面では「海外で政治活動をするという公約を掲げて当選した。海外でSNSを利用してあらゆる不正を暴露し裁くことで、この国の不満を解消していくことが私に投票した皆様との約束で、海外から国会議員の仕事は可能だ」としていました。

2023年 1月の通常国会召集も欠席

通常国会召集日の1月23日も登院しなかったことから、参議院議院運営委員会は理事会にガーシー議員の秘書と党の浜田政策調査会長を呼び、石井委員長が、速やかに帰国の上、登院するよう求める文書を手渡しました。

文書では、ガーシー議員が提出した海外渡航届は、先の理事会で認められなかったとした上で「ガーシー議員は3月上旬に帰国する予定とのことだが、国会法などでは国会召集日に登院しなければならないと定められている」と指摘しました。

参議院議長が「招状」を発出

国会への欠席を続けるガーシー参議院議員に対し、尾辻参議院議長は、国会法に基づいて、出席を求める書面「招状」を発出しました。

尾辻参議院議長は1月30日午後、党の浜田政策調査会長らを呼び、今の国会でも、召集日から7日間欠席が続いたとして、国会法124条に基づいて、出席を求める書面「招状」を手渡しました。

参院 「議場での陳謝」を決定

参議院の懲罰委員会は2月21日、ガーシー議員を4つある懲罰処分のうち、3番目に重い「議場での陳謝」とすることを全会一致で決め、22日の参議院本会議で採決が行われました。

まず、懲罰委員長の日本維新の会の鈴木議員が審査の経過を報告したあと、NHK党の浜田政策調査会長が「ガーシー議員は、去年、海外から議員活動をすると公言して当選した」などと弁明を行いました。

続いて採決が行われ、NHK党を除く与野党の賛成多数でガーシー議員の懲罰処分が正式に決まりました。

れいわ新選組は採決を欠席しました。

国会への欠席を理由に懲罰処分となるのはガーシー議員が初めてです。

「陳謝」行う予定の本会議を欠席

ガーシー参議院議員は3月7日、訪問先のトルコからみずからのSNS、インスタグラムで生配信を行い「僕は帰国しない。時期尚早だと判断した」と明らかにし、本会議を欠席する意向を示しました。

そして懲罰処分の陳謝を行う予定だった8日の本会議を欠席したため、尾辻参議院議長は、改めて処分の審査を行うよう懲罰委員会に付託しました。

「除名処分」 参院懲罰委で決定

参議院懲罰委員会は、3月14日、改めて審査を行い、ガーシー議員の弁明について、政治家女子48党の浜田政策調査会長は「不登院という事情をもって除名処分に至ることは違法だ」と述べました。

このあと、討論が行われ、自民党や立憲民主党など各党からは「国民の意思と参議院を愚弄する行為だ」などとして、「除名」とすべきだという意見が相次ぎました。

そして、採決の結果、最も重い懲罰処分で、議員の資格を失わせる「除名」とすることを全会一致で決定しました。

政女 浜田政調会長「『除名』処分は正直ショック」

政治家女子48党の浜田政策調査会長は、記者団に対し「改めて『除名』という処分に進むような感じがして、正直、ショックを受けている」と述べました。

鈴木宗男 参院懲罰委員長「民主主義の基本わきまえていない」

参議院懲罰委員会で委員長を務める日本維新の会の鈴木宗男議員は、記者団に対し「民主的な手続きの選挙で国民から選ばれたことの重みを考えながら、手続きや段階を踏んで、きょうの除名に至った。ガーシー議員は、法律や規則があって成り立つという民主主義の基本をわきまえていない。慎重な手続きをとって結論を出したので国民の理解は十分いただけると思う」と述べました。

「除名」 議員資格失う 参院本会議

3月15日に参議院本会議が開かれ、鈴木宗男懲罰委員長が審査の経過を報告しました。

これに対し、党の浜田政策調査会長が「不登院という事情をもって除名処分に至ることは違法だ。少数派を排除する除名は許されない行為だ」などと弁明を行いました。

そして、記名による採決の結果、出席した236人のうち
▽賛成が235
▽反対が政治家女子48党の1で、
「除名」とするのに必要となる3分の2以上の賛成多数で、ガーシー議員の「除名」が正式に決まりました。

これを受けて、尾辻議長が「国会法の規定により、除名する」と宣告し、ガーシー議員は除名され、議員の資格を失いました。

国会議員の「除名」は、72年前の1951年以来、今の憲法のもとでは3人目で、国会への欠席が主な理由となるのは初めてです。

ガーシー元議員の逮捕状請求 著名人ら脅迫などの疑い 警視庁

「除名」処分となったガーシー元参議院議員について、警視庁は、インターネットの動画投稿サイトを通じて著名人らを繰り返し脅迫したなどとして、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの疑いで逮捕状を請求しました。

ガーシー元議員は海外で滞在を続けていて、警視庁は、逮捕状を取ったあと、パスポートの返納命令も外務省に要請することにしています。

ガーシー元議員「名誉毀損とは思ってない 日本には帰らない」

ガーシー元議員は3月16日午後1時半ごろにライブ動画を配信し、「事実を言っただけで名誉毀損をしたとは思っていない。日本には帰らない」と話しました。
また「このあと念のために引っ越しする。引っ越し先は誰にも言わない。国に帰らなかったことや国会に出なかったことについて謝る気はない。票を入れてくれた有権者には謝る気持ちしかない」とも話していました。

ガーシー元議員は、15日夜も動画を配信していて、UAE=アラブ首長国連邦から韓国を経由して、14日未明に日本に帰国し、参議院懲罰委員会で弁明する予定だったと主張しました。
しかし、除名を回避できる可能性が低いことや、弁護士や友人からひきとめられたことなどを理由に、取りやめたと話していました。

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