政府 森まさこ首相補佐官 LGBTの人たちへの理解広げる担当に

政府は、LGBTの人たちへの理解を広げる担当に、女性活躍を担当する森まさこ 総理大臣補佐官をあてることを決めました。

同性婚への差別的な発言で総理大臣秘書官が更迭されたことをきっかけに、国会では、LGBTの人たちに対する理解を増進するための議員立法などをめぐる議論が活発になっています。

こうした中で政府は17日、LGBTの人たちへの理解を広げる担当に、女性活躍を担当する森まさこ 総理大臣補佐官をあてることを決めました。

森氏は、参議院福島選挙区選出の当選3回で58歳。平成19年の選挙で初当選し、これまでに法務大臣などを務め、おととし11月の第2次岸田内閣の発足に伴って総理大臣補佐官に就任しました。

松野官房長官は記者会見で、「性的指向や性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならず、森補佐官はLGBTに関する理解を国民に広く普及する役割を担う。多様性を認め合う包摂的な社会の実現のため、しっかりと取り組んでもらいたい」と述べました。

森まさこ氏「この役目を全力で果たしていきたい」

森まさこ総理大臣補佐官は、総理大臣官邸で記者団に対し「責任の重大さを感じている。岸田内閣が、多様性を重視し、全ての人の人権が守られる包摂社会を作っていくことを目的としている中で、この役目を全力で果たしていきたい」と述べました。

岸田首相 LGBTなど支援団体と面会 “多様性尊重 実現へ努力”

岸田総理大臣は、17日、LGBTなど性的マイノリティーの人たちを支援する3つの団体の代表者らと面会しました。先に更迭した総理大臣秘書官の差別的な発言を陳謝し、多様性が尊重される社会の実現に向けて、努力していく考えを伝えました。

面会の冒頭、岸田総理大臣は、先に更迭した総理大臣秘書官の同性婚をめぐる差別的な発言について、「極めて不適切で、多くの方に不快な思いをさせたことを心からお詫び申し上げたい」と陳謝しました。

そして、「多様性が尊重され、すべての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、それぞれの人生をいきいきと過ごせる社会を目指すべく努力していかなければならず、意見を聞かせてほしい」と述べました。

出席者によりますと、同性婚の制度を導入した場合「社会が変わってしまう」と国会で答弁した真意を問うと、岸田総理大臣は「ネガティブな意味ではなく、フラットに、制度が変わるという意味で国民の間で議論していく必要があるという趣旨だった」と釈明したということです。

また団体のメンバーは「国会で議論されているLGBTの人たちへの理解を増進する法案の成立だけですべてが解決するわけではない」と述べ、同性婚の制度の実現や差別を禁止する法律の制定などを訴えました。

これに対し岸田総理大臣は、「当事者の声も参考に、今後の対応を検討したい」と述べました。

交流施設の運営代表「ディスカッションする場を」

性的マイノリティーの人たちの交流施設を運営する「プライドハウス東京」の代表を務める松中権さんは、記者団に対し、「岸田総理大臣からは『参加した団体からの声を聞いて、きちんと一つ一つ向き合っていきたい』ということばももらった。担当の補佐官を置くだけではなくて、コミュニティーの人から意見を吸い上げたり、ディスカッションする場をきちんと作ってほしい」と述べました。

LGBT法連合会 事務局長「抜本的な政策加速を期待」

当事者団体などで作る「LGBT法連合会」の事務局長 神谷悠一さんは「岸田総理大臣からは、今回のわれわれの話を受け止め、しっかり考えながら進めていくという話があった。きょうを境にして抜本的に政策が加速し、変化していくことを期待している」と話していました。

松野官房長官「話を参考に共生社会実現に向け取り組む」

松野官房長官は、17日午後の記者会見で「いただいた話も参考にしながら、社会のさまざまな場面で、性的指向や性自認の多様性に関する理解が進むよう、引き続き、関係府省が連携し、共生社会の実現に向けしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。

立民 泉代表「決断と実行を」

立憲民主党の泉代表は17日記者会見で「岸田総理大臣には『聞きました』『これから勉強します』ではなく、まさに決断と実行の最終段階の面会であってほしい。超党派でまとめた理解増進法案が後退せず、差別解消法や同性婚の制度が実現するように決断と実行をしてもらいたい」と述べました。