北九州市長選 元厚労省室長の武内和久氏 初当選 与野党推薦新人破る

16年ぶりに新人どうしの争いとなった北九州市長選挙は、無所属で元厚生労働省室長の武内和久氏(51)が自民党や立憲民主党などが推薦した新人らを破り、初めての当選を果たしました。

北九州市長選挙の開票結果です。

▽武内和久 無所属・新 当選 12万6839票
▽津森洋介 無所属・新 11万2614票
▽永田浩一 無所属・新 2万8336票
▽清水宏晃 無所属・新 2万7788票

武元厚生労働省室長の武内氏が自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦し、社民党が支持した元内閣府参事官の津森氏ら3人を破って、初めての当選を果たしました。

竹内氏は福岡市出身の51歳。

厚生労働省で福祉人材確保対策室長などを務めたあと、外資系企業の役員などを経て4年前の福岡県知事選挙にも立候補しました。

今回、武内氏は選挙戦で、市長や議員の報酬を見直すなど行財政改革を断行して財源を生み出し、子育て支援の拡充や新たな産業の創出など次世代への投資を進めると訴えました。

そして、一部の自民党市議会議員らの支援も受けて、自民党などの支持層やいわゆる無党派層から幅広く支持を集めました。

武内氏の勝因は

武内氏は、4人の候補のなかで最も早い、去年8月に立候補を表明。

しがらみからの脱却を掲げ、政党や組織の支援は受けずに1000回以上、街頭での演説やミニ集会を行うなど草の根の活動を展開し、浸透を図ってきました。

政策面では行財政改革を断行して新たな財源を生み出し、第2子以降の保育料を無償にするなど次世代への投資を進めると繰り返し訴えました。

こうした姿勢に共感した一部の自民党市議会議員らも陣営に加わり、保守層の切り崩しを進めたほか、選挙期間中、SNSでのライブ配信を積極的に行って若者などへの支持拡大を図りました。

その結果、津森氏を推薦した政党の支持層を切り崩したほか、いわゆる無党派層からも幅広く支持を集めました。

次点の津森洋介氏「私の力不足」

「こういう結果になったことは、私の力不足で改めておわび申し上げたい。私自身、北九州を愛する気持ちは変わりない。皆さんと一緒に北九州を盛り上げていきたいという気持ちに偽りはない。新しい市政が始まるので、一市民として行く末を見守っていきたい」

津森氏支援の北橋健治市長「自分自身の力不足」

「自分の4期16年の総決算、ぜひともこんなすばらしい方にバトンを継いでもらえればという思いで取り組んだが、自分自身の力不足のため、それがかなわなかった。立候補の表明が11月という時間のなさは大きなハンディーだったと改めて痛感した。16年間、議会や市民、各界と一緒になって種をまき、芽が出て、これから花が開こうかというものもあるので、新市長はこれをしっかりと伸ばしていってほしい」

投票率は38.50%

北九州市選挙管理委員会によりますと、北九州市長選挙の確定の投票率は38.50%で、前回・4年前の選挙を5.02ポイント上回りました。

北九州市長選挙の投票率は、昭和50年の75.6%が最も高く、その後は低下傾向となり、平成以降、投票率が50%を超えたのはいまの北橋市長が初当選した平成19年の1回だけです。

今回の選挙は、4期16年務めた北橋市長が退任することを受けて16年ぶりに新人どうしの争いとなり、投票率は過去最低となった前回の選挙を上回りました。

自民 森山選対委員長「よく分析・反省し統一地方選に備えたい」

自民党の森山選挙対策委員長は党本部で記者団に対し「多くの政党が支援した候補がなぜ当選できなかったのか、いろいろ敗因は考えられるが、SNSを使った広報活動がいまひとつ足りなかったのではないかなど、今後よく分析・反省し、きたるべき統一地方選挙に備えたい。また、今回で党の挙党体制がどうだったのかということも点検してみる必要があると思う」と述べました。