刑法犯罪20年ぶり前年比増 児童虐待の通告対象数が過去最多

去年の全国の刑法犯罪はおよそ60万1000件と、おととしより5%余り増え、20年ぶりに前の年に比べ増加しました。また児童虐待の通告対象数が過去最多となり、警察庁は対策を強化することにしています。

警察庁によりますと、去年、全国で起きた刑法犯罪は60万1389件と、おととしに比べ3万3285件、率にして5.9%増え、2002年をピークに減少を続けていた傾向から一転し20年ぶりに前年より増加しました。

このうち、自転車盗や暴行、傷害などの街頭での犯罪は20万1619件と、前年比で2万5317件、14.4%増えたほか、

強盗や放火、性的暴行などの重要犯罪は9536件と前年比で715件、8.1%増えました。

街頭犯罪が大幅に増えた理由について、警察庁は新型コロナの影響が落ち着き、外出する人が増えたことが背景にあると分析しています。

一方「重要犯罪」は安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件や“闇バイト”に応募したメンバーによる一般住宅を狙った強盗事件などが相次いで発生し、国民に不安を与えたとしています。

また「特殊詐欺」の被害はあわせて1万7520件で、被害額はおよそ361億4000万円と、前年比で79億4000万円、28.2%増え、8年ぶりに増加に転じました。

このほか「児童虐待」の疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは11万5730人で、過去最多となりました。

警察庁は、犯罪情勢は厳しい状況にあるとした上で「日本の社会が変容する中、さまざまな課題に対処できるよう柔軟な組織運営を図り国民の信頼に応えていきたい」としています。

官房長官 “感染状況変化などによる人流増加が一定程度影響か”

松野官房長官は、2月2日の記者会見で「増加の要因は、自転車盗などの街頭犯罪の増加にあるとみられ、新型コロナの感染状況の変化などによる人流の増加が一定程度影響したとみられる。政府としては国民の安全と安心を確保するための取り組みを推進していきたい」と述べました。