安倍元首相銃撃事件 現場のガードレール撤去 車道で整備 奈良

安倍元総理大臣が銃撃された奈良市の現場で、当時、演説が行われた場所に設置されていたガードレールを撤去する工事が行われました。現場は「車道」として整備し、周辺に花壇が設けられることになります。

ことし7月、安倍元総理大臣は、奈良市の近鉄 大和西大寺駅北側の路上で演説中に、銃で撃たれて死亡しました。

事件当時、安倍元総理大臣が演説していたガードレールに囲まれた場所は、もともと、奈良市が今年度中に広場や道路を整備しようと作業を進めていました。

市は事件を受けて、現場となった場所について、「歩道」にして、近くに慰霊碑を設ける案などを検討してきましたが、有識者や住民などから意見を聞いたうえで、ことし10月、当初の計画どおり、「車道」として整備し、周辺に花壇を設ける一方、弔意を示す慰霊碑などのような「構造物」は作らないことを決めました。

12月19日は、午前10時からガードレールを撤去する工事が始まり、作業員たちが一礼してから、工具を使って1つずつ土台から取り外し、代わりに仮設のバリケードを設置していました。

工事の様子を見ていた20代の男性は「再開発のためにしかたないことだと思うが、現場の姿が変わることに複雑な思いです。少しでも事件現場ということがわかるものを残してほしい」と話していました。

奈良市「訪れた人が気持ちよく歩ける街に」

奈良市の西大寺駅周辺整備事務所の鈴木秀俊所長は「事件の記憶をとどめるものを残してほしいという声はいただいているが、再整備は決定事項なので、訪れた人が気持ちよく歩ける街になるよう工事を進めていきたい」と話していました。