ふるさと納税2022年内12日31日まで 上位ランキングは

年末に向け、ふるさと納税の申し込みがピークを迎えています。ことし・2022年分の期限は12月31日です。

ふるさと納税とは

生まれ育った自治体や、応援したい自治体など、住んでいる場所とは別の自治体に個人が2000円を超える寄付をすると、年収や寄付額に応じて、所得税と住民税の一部が控除される仕組みで、2008年度から始まりました。しかし、各地の自治体が高額な返礼品を贈るケースが相次ぎ、過度な競争が問題となりました。そのため、総務省は、2018年4月に自治体に対し、返礼品は、地元の特産品や、地元で受けられるサービスにすることなどを求める通知を出しました。

ふるさと納税をするには

①まず寄付をする自治体を選びます。

②寄付額は所得によって上限があります。専門のサイトなどで上限額を調べて寄付を申し込みます。
控除上限額は、給与収入や家族構成、住所地などによって異なります。給与収入がなかったり、所得税・住民税がかかっていない方は控除は適用されません。

③受領書や返礼品が届きます。

④確定申告をすると翌年の税金が控除されます。

ただし、「ワンストップ特例制度」を利用する場合は確定申告が不要になります。
確定申告の不要な給与所得者などで、1年間でふるさと納税先の自治体数が5つ以内である場合は、申請書と本人確認書類を寄付した自治体に郵送すれば確定申告の必要はありません。マイナンバーカードがあればオンラインのみで手続きが完了する自治体もあります。
また住民票がある自治体の返礼品は受け取ることができません。また上限額を超えた分は自己負担となります。

実際にふるさと納税を行う際の手続きについては自治体によって異なりますので、自治体のホームページなどで確認するか直接各自治体に問い合わせをしてください。

2021年は過去最多を更新

去年ふるさと納税を利用した人は740万人余り、自治体に寄付された総額も、昨年度8300億円余りで、いずれもこれまでで最も多くなりました。

総務省によりますと、去年1年間にふるさと納税を利用して住民税の控除を受けた人は740万8000人でした。これまで最も多かったおととしに比べて176万人余り増えていて過去最多を更新しました。また、ふるさと納税で全国の自治体に寄付された額は、昨年度8302億4000万円と、前の年度をおよそ1600億円上回り、こちらも過去最高を更新しました。

昨年度多くの寄付を集めた上位20の自治体は以下のとおりです。

▽1位は北海道紋別市で、152億9700万円。
▽2位は宮崎県都城市で、146億1600万円。
▽3位は北海道根室市で、146億500万円。
▽4位は北海道白糠町で、125億2200万円。
▽5位は大阪 泉佐野市で、113億4700万円。
▽6位は宮崎県都農町で、109億4500万円。
▽7位は兵庫県洲本市で、78億4200万円。
▽8位は福井県敦賀市で、77億2200万円。
▽9位は山梨県富士吉田市で、72億1400万円。
▽10位は福岡県飯塚市で、65億6400万円。
▽11位は静岡県焼津市で、64億8500万円。
▽12位は兵庫県加西市で、64億5600万円。
▽13位は京都市で、62億3900万円。
▽14位は北海道弟子屈町で、58億6100万円。
▽15位は鹿児島県志布志市で、52億9800万円。
▽16位は佐賀県唐津市で、50億3000万円。
▽17位は茨城県境町で、48億8600万円。
▽18位は和歌山県有田市で、48億7200万円。
▽19位は滋賀県近江八幡市で、47億8600万円。
▽20位は佐賀県上峰町で、45億5800万円。

6位の宮崎県都農町と7位の兵庫県洲本市は、昨年度の一時期「寄付額の3割以下」とした法律の基準を大幅に超える返礼品を送っていたとして、ふるさと納税の対象自治体としての指定を取り消されています。

広がりを見せる一方で懸念も

ふるさと納税は豪華な返礼品を用意した自治体に寄付が集まり、東京23区や横浜市などの都市部では、財源が流出することへの懸念も示されています。

東京23区の特別区長会はことし10月「貴重な財源が一方的に奪われていて、制度の抜本的な見直しが必要だ」などとする主張を取りまとめています。

その中ではふるさと納税について「令和元年度に返礼品を寄附額の3割以下にするなどの⾒直しが⾏われたものの、依然として特別区⺠税における減収額は増加しており、平成27年度からの累計額は、2,700億円を超えた。その結果、全区⺠が減収による⾏政サービス低下の影響を受けざるを得ない⼀⽅、制度を利⽤する区⺠のみが返礼品などの恩恵を受けるといった不公平が⽣じる等、制度の歪みが顕在化している。今こそ、制度を巡る様々な問題に対処すべく抜本的な⾒直しを⾏うべきだ」としています。

税収減収額 上位20自治体

ふるさと納税でほかの自治体に寄付をした住民が多いため、今年度の住民税の税収が減る見通しの自治体を減収額が多い順にまとめました。

▽1位は横浜市で230億900万円。
▽2位は名古屋市で143億1500万円。
▽3位は大阪市で123億5900万円。
▽4位は川崎市で102億9100万円。
▽5位は東京 世田谷区で83億9600万円。
▽6位はさいたま市で、73億9100万円。
▽7位は神戸市で70億円。
▽8位は札幌市で66億3900万円。
▽9位は京都市で64億4300万円。
▽10位は福岡市で62億5500万円。
▽11位は東京 港区で61億2900万円。
▽12位は千葉市で46億4700万円。
▽13位は東京 大田区で42億3100万円。
▽14位は広島市で41億9100万円。
▽15位は東京 杉並区で40億9100万円。
▽16位は東京 江東区で40億5100万円。
▽17位は東京 品川区で39億4800万円。
▽18位は仙台市で37億3800万円。
▽19位は東京 練馬区で36億5300万円。
▽20位は東京 渋谷区で36億300万円。

東京 23区の区が8つ入っています。それ以外はいずれも政令指定都市で、人口が多い都市部から地方への税の流出が進む傾向が続いています。

特色ある返礼品も

鹿児島県薩摩川内市 返礼品は家康のかっちゅう(複製品)


2023年の大河ドラマの主人公は徳川家康です。鹿児島県薩摩川内市は、市内にある工房が製作する家康のかっちゅうの複製品などを新たにふるさと納税の返礼品に選びました。

薩摩川内市のふるさと納税の返礼品に新たに選ばれたのは、「甲冑工房丸武」が製作したかっちゅうです。徳川家康が身に付けたとされる「大黒頭巾」と呼ばれるかっちゅうで、徳川家に残されていた実物をもとに複製されました。

高さは1メートル64センチ、重さは26.8キロあり、かぶとにはシダの葉をかたどった特徴的なしんちゅう製の前立がつけられています。

甲冑工房丸武は、県の伝統的工芸品の製造者にも指定されていて、国内の映画やドラマに採用されるかっちゅうの80%以上を製作しています。家康のかっちゅうは35人もの職人が2か月間かけて手作りし、ふるさと納税の寄付額は760万円だということです。返礼品ではこのほかにも家康の別のかっちゅうや2000万円の寄付額となる織田信長のかっちゅうも用意されるということです。

自販機でレジャー施設内の利用料も

神奈川県相模原市は、去年8月から市内にある遊園地やキャンプ場などを備えたレジャー施設に、ふるさと納税ができる自動販売機を設置しました。

自動販売機は市外の客が多く訪れるキャンプ場の受付に設置され、利用者は1万円から10万円までの範囲で選んで寄付をすると、税の控除に必要な書類が後日、郵送で届きます。

寄付の返礼品として3割にあたる金額分のクーポン券を受け取り、施設内の利用料などとしてすぐに使える仕組みになっています。