「薬価 来年度改定で48%の品目を引き下げ」加藤厚労相

国が定める薬の価格をめぐり加藤厚生労働大臣は、16日来年度の改定で全体の48%の品目で引き下げる方針を明らかにしました。

医療機関に支払われる診療報酬のうち薬の価格の部分は、市場価格を適切に反映し、医療費の抑制につなげるため、毎年改定が行われることになっています。

ことし9月の調査で、薬の市場価格が、国が定めた価格を平均で7%下回ったことから、政府は価格を引き下げる薬の対象などについて検討していました。

これについて加藤厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で16日、松野官房長官と鈴木財務大臣と協議し、改定の方針を決定したことを明らかにしました。

決定された方針では、およそ1万9400ある薬の品目のうち、市場価格との差がおよそ4.4%を超えるものを価格引き下げの対象とする一方、安定的な供給確保や新薬の開発促進の観点から、原材料費の高騰で採算が取れない薬や革新的な新薬については、価格を引き上げたり、維持したりする特例的な措置を取るとしています。

その結果、最終的に価格を引き下げる品目は全体の48%に当たる、およそ9300品目になるとしています。

加藤大臣は「国民負担とイノベーション推進のバランスをどう図るのか検討を進め、これまでは引き下げと維持しかなかったが、今回は引き上げを行うなどメリハリを効かせた」と述べました。

具体的な引き下げ幅は、来年度予算案の編成作業の中で調整が図られることになります。

中医協 改定に向けた政府の方針を了承

来年度の改定に向けた政府の方針について、16日に開かれた厚生労働大臣の諮問機関、中医協=中央社会保険医療協議会で議論が行われ、了承されました。

会合の中で、大企業の従業員らが加入する健康保険組合連合会の委員は「総論で異論はない。私たちが求めていた改定の対象になり、国民負担の抑制という最大の目的は果たされると考えている」と賛成の意見を述べました。

一方、日本薬剤師会の委員は「改定の対象範囲が大きくなってしまい、大変残念だ。薬の価格が下がることは経営に大きな影響があり、毎年改定が行われることは業界にとって影響は大きい」と、毎年改定が行われることへの懸念を示しました。