ICBM級 北朝鮮ミサイル今年34回目発射 岸田首相“厳重に抗議”

防衛省は11月18日午前、北朝鮮から、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が発射されたと発表しました。

ミサイルは1時間余り飛行したあと北海道渡島大島の西の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられるということです。

北朝鮮のミサイルが日本のEEZ内に落下したのはことし3月以来で、弾頭の重さによっては射程は1万5000キロを超え、アメリカ全土に届くとみられるとしています。

弾道ミサイル1発 北海道の西 日本のEEZ内に落下か

防衛省によりますと18日午前10時14分ごろ、北朝鮮の首都ピョンヤン付近から、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が東の方向に向けて発射されました。

ミサイルはおよそ69分間飛行し、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西、およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられるということです。

これまでのところ日本の船舶や航空機への被害の情報は入っていないということです。

防衛省によりますと、ミサイルの最高高度はおよそ6000キロ、飛行距離はおよそ1000キロで通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射されたとみられるということです。

また、弾頭の重さによっては射程は1万5000キロを超え、アメリカ全土に届くとみられるとしています。

北朝鮮がICBM級の可能性がある弾道ミサイルを発射したのは、今月3日以来、10回目です。

また、北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したのはことし3月24日以来です。

防衛省によりますと、このときはICBM級のものがロフテッド軌道で発射され、およそ71分飛行して北海道の渡島半島西の日本のEEZの内側に落下したとみられていて、今回のミサイルは最高高度がほぼ同じで、飛行時間はこのときに次いで過去2番目だということです。

北朝鮮は17日も弾道ミサイル1発を発射し、北朝鮮による弾道ミサイル発射は今月だけで6回目で、防衛省が警戒を続けています。

岸田首相”被害報告は確認されず 厳重に抗議”

北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたことを受け、岸田総理大臣は午前11時すぎ、訪問先のタイで記者団の取材に応じ、ミサイルは北海道西側の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に着弾したという認識を明らかにしました。

航空機や船舶などの被害は報告されていないということです。

この中で、岸田総理大臣は「北朝鮮が弾道ミサイルを発射し北海道の西側、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に着弾したものと思われる」と述べました。

そのうえで「今のところ、航空機や船舶などの被害は報告されていない」と述べました。

そして「北朝鮮は、これまでにない頻度で挑発行動を繰り返している。断じて容認することができないことを改めて強く申し上げる」と述べ北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにしました。

官房長官”飛行距離約1000キロ 最高高度約6000キロと推定”

松野官房長官は、臨時の記者会見で、きょう午前10時14分ごろ、朝鮮半島西岸付近からICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が発射され、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられると発表しました。

ミサイルの飛行距離は、およそ1000キロ、最高高度は、およそ6000キロと推定されるとしています。

松野官房長官は「破壊措置については実施をしていない。現時点で被害の報告は受けていない」と述べました。また、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射された可能性があることを明らかにしました。

現時点で、船舶や航空機などへの被害報告はないとしています。

ミサイル 米国全土射程となりえる1万5000キロ超可能性 防衛相

浜田防衛大臣は、北朝鮮が18日午前、首都ピョンヤン近郊からICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発を発射しておよそ69分間飛行し、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられると発表しました。

弾頭重量などによっては射程が1万5000キロを超え、アメリカ全土が射程に含まれることになると明らかにしました。

浜田防衛大臣は、18日午後0時すぎ、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が18日午前10時14分ごろ、首都ピョンヤン近郊からICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発を発射し、およそ69分間飛行し、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西、およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられると発表しました。

ミサイルの飛行距離は、およそ1000キロ、最高高度は、およそ6000キロと推定され、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射された可能性があるということです。

飛行時間としては、ことし3月24日に発射されたICBM級の「火星17型」とみられる弾道ミサイルの飛行時間71分に次いで、過去2番目の長さだということです。

現時点で、船舶や航空機などへの被害報告はないとしています。

また浜田大臣は今回の弾道ミサイルは軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては射程が1万5000キロを超えてアメリカ全土が射程に含まれることになると明らかにしました。

そして、浜田大臣は、今回の発射について「わが国と地域、国際社会の平和と安全を脅かし、国連の安保理決議に違反するもので、強く非難する」として、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしました。

一方、浜田大臣は今回の発射でJアラート=全国瞬時警報システムで情報発信を行わなかったことについて「Jアラートはわが国本土に落下する場合に出すことが基本で、海上に落下する場合はJアラートは出さない。発射時点から計算して大体この辺に落下するということを常に考えており、海上については海上保安庁などが連絡している可能性がある」と述べました。

弾道ミサイルなどを発射 ことしに入って34回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って34回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月に1回、8月に1回、9月に3回、10月に7回、今月に5回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に9月下旬から今月にかけてはあわせて15回とこれまでにない頻度で相次いで発射しています。

北朝鮮 ミサイル発射 異例の頻度

北朝鮮は過去にない異例の頻度で発射を繰り返していて、10月に続いて今月も相次いで発射しています。

今月2日には、南北の分断後初めて、海上の境界線を越えた1発を含めて、20発あまりのミサイルを発射しました。

3日にはピョンヤン郊外のスナン付近からICBM=大陸間弾道ミサイルの可能性がある1発と、ピョンアン南道ケチョン付近から短距離弾道ミサイル2発を発射しました。

また、同じ日の夜には、内陸部のファンヘ北道コクサン付近から短距離弾道ミサイル3発を発射しました。

5日にも北西部のピョンアン北道トンリム付近から短距離弾道ミサイル4発を発射していました。

そして、9日に西部のピョンアン南道スクチョン付近から、17日は東部のウォンサン付近から短距離弾道ミサイルをそれぞれ1発ずつ発射していました。

※スナン(順安)、ピョンアン(平安)、ケチョン(价川)、ファンヘ(黄海)、コクサン(谷山)、トンリム(東林)、スクチョン(粛川)、ウォンサン(元山)

北朝鮮 ICBM級 発射繰り返す

北朝鮮はことしに入って、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイルを繰り返し発射しています。

このうち、ことし3月24日、首都ピョンヤン郊外のスナン付近から弾道ミサイル1発を通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射し、北海道沖の日本海、EEZ=排他的経済水域の内側に落下したと推定されました。

韓国軍は高度は6200キロ以上とこれまでで最も高くなり、防衛省は射程がアメリカ全土を含む、1万5000キロを超える可能性があると分析しています。

そして北朝鮮は翌日、新型のICBM級の「火星17型」の発射実験に初めて成功したと発表しました。また、5月25日には再びスナン付近から合わせて3発の弾道ミサイルを発射し、1発目について韓国大統領府の高官は「火星17型」とみていると明らかにしました。

さらに、今月3日にスナン付近から発射された弾道ミサイルについて、日本政府はICBM級の可能性があるとしたほか、韓国軍は「火星17型」が正常に飛行せず失敗したと分析していました。

北朝鮮めぐる最近の動き

弾道ミサイルなどの発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米韓3か国は連携して抑止力の強化を進めています。

アメリカは、ことし9月に続いて10月も、原子力空母を日本海に再び展開し、日本や韓国とともに共同訓練を行いました。

10月17日から28日にかけては、韓国軍の定例の野外機動訓練が一部アメリカ軍も参加して実施されたほか、今月5日までの6日間、最新鋭のステルス戦闘機やB1爆撃機などを投入して米韓空軍による5年ぶりの大規模訓練が行われました。

また、韓国軍は、今月10日までの4日間、北朝鮮の核・ミサイルなどの脅威を想定した定例の指揮所演習を行いました。

一方、北朝鮮は、10月9日までの15日間、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもとで、「戦術核運用部隊」の訓練を実施し、弾道ミサイルを7回発射しました。

また今月2日に、南北の分断後初めて海上の境界線を越えて落下した地対空ミサイル1発を含む20発あまりのミサイルを発射しました。

その後も、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の可能性がある1発を含む弾道ミサイルを相次いで発射し、北朝鮮軍は今月2日から5日にかけて、米韓空軍の大規模訓練に対応するための「軍事作戦」を行ったと発表していました。

加えて、チェ・ソニ外相が17日、今月13日の日米韓首脳会談を非難する談話を発表し「アメリカが同盟国への『拡大抑止の強化』に執着し、朝鮮半島や周辺地域で挑発的な軍事的活動を強化すればするほど、われわれの軍事的対応はさらに猛烈になる」として強くけん制していました。