首相 旧統一教会被害者救済 今国会への新法案提出へ最大限努力

旧統一教会の被害者救済をめぐり、岸田総理大臣は、悪質な献金を規制する新たな法案について、政府として今の臨時国会に提出することを視野に、最大限の努力を行う考えを明らかにしました。

旧統一教会の被害者を救済するため、悪質な献金を規制する新たな法律をめぐっては、自民・公明両党と、立憲民主党、日本維新の会による4党で協議が行われていますが、見解に隔たりがあり、今の国会で成立させられるかが焦点となっています。

こうした中、岸田総理大臣は午後4時すぎから、公明党の山口代表と総理大臣官邸で会談し、今後の対応を協議しました。

このあと、岸田総理大臣は記者団に対し「悪質な献金などの被害者救済の新規立法については、憲法の信教の自由や国民の権利義務にかかわることから、関係省庁で総力を挙げて検討を進めてきた」と述べました。

そのうえで、「政府としては、今国会を視野にできるかぎり早く法案を国会に提出すべく、最大限の努力をする」と述べ、悪質な献金を規制する新たな法案について、政府として今の臨時国会に提出することを視野に、最大限の努力を行う考えを明らかにしました。

そして岸田総理大臣は、政府が提出する新法は、
▽消費者契約法の対象とならない寄付一般について、社会的に許容しがたい悪質な勧誘行為を禁止すること
▽悪質な勧誘行為に基づく寄付について、取り消しや損害賠償請求を可能とすること
▽また、子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすること
などを主な内容として、検討を進める考えを示しました。

また、岸田総理大臣は「私自身、旧統一教会の被害者の方々と内々に会い、凄惨(せいさん)な経験を直接うかがったが、政治家として胸が引き裂かれる思いがした。政府として、被害者救済と再発防止のために、さらにペースを早め、さらに範囲を広げ、新たな法制度実現に取り組む決意をした」と述べました。

与野党協議会 政府法案で協議継続へ

与党党首会談のあと開かれた与野党4党の協議会では、政府が策定する法案について、各党が要望を伝える形で、今後も協議を続けていくことで合意しました。

6回目となる与野党協議会は、午後5時半からおよそ1時間半開かれました。

協議会で、野党側は、国会に提出している、いわゆるマインドコントロールによる多額の献金を禁止する独自の法案について、与党側から出されていた54項目の質問に対し回答を行いました。

このあと、今後の議論の進め方について意見を交わし、野党側は、岸田総理大臣が表明した方針を受けて、悪質な献金を規制する新たな法案について「被害者救済となるのであれば、 政府提出か、議員立法か形式は問わない」と述べました。

そのうえで、政府が策定する法案の概要を来週14日までに示すよう求め、議論したい考えを伝えました。

これに対し、与党側は時期の約束はできないとしましたが、協議会として、今後、政府の法案の方針がまとまった時点で、政府側から説明を聞いたうえで、各党が要望を伝える形で、今後も協議を継続することで合意しました。

自民 若宮幹事長代理「目指す山の頂上は全く同じ」

4党協議の実務者を務める自民党の若宮幹事長代理は、記者団に対し「内閣の姿勢が改めて打ち出されたので、私どもとしても、具体的な項目を示しながら、立法に向けた準備作業を進めていくべきだと認識している。目指す山の頂上というのは全く同じだと思っているので、どういった形で前進していくかだ」と述べました。

立憲民主 長妻政務調査会長「問題は中身 早く新法の要綱を」

立憲民主党の長妻政務調査会長は、記者団に対し「岸田総理大臣が、新法の要綱や条文を作るという意思を明確にしたのはよいことだが、問題は中身だ。ほかの与党との関係など、しがらみを気にして無難なものを作ろうという発表だったらがっかりだ。できるだけ早く新法の要綱を出してほしい」と述べました。

日本維新の会 音喜多政務調査会長「前向きに受け止めたい」

日本維新の会の音喜多政務調査会長は、記者団に対し「岸田総理大臣の発言は、大きな前進として前向きに受け止めたい。政治の原動力は困った方々を救うことにあり、総理大臣が決断したことは極めて大きな意味を持つ。与党に対して『消極的だ』という批判もしてきたが、きょうを境に議論を加速して前に進んでいきたい」と述べました。

自公党首会談 旧統一教会の被害者救済 “制度構築”方針で合意

旧統一教会の被害者救済をめぐり、岸田総理大臣と、公明党の山口代表が会談しました。
山口氏は会談後、記者団に対し政府・与党で被害者の救済と再発防止に向けた制度を構築していく方針で合意したことを明らかにしました。

旧統一教会の被害者を救済するため悪質な献金を規制する新たな法律をめぐっては、自民・公明両党と、立憲民主党、日本維新の会による4党で協議が行われていますが、見解に隔たりがあり、今の国会で成立させられるかが焦点となっています。

こうした中、岸田総理大臣は午後4時すぎから公明党の山口代表と総理大臣官邸でおよそ30分間会談し、自民・公明両党の幹事長と松野官房長官が同席しました。

会談後、山口氏は記者団に対し「急きょ、岸田総理大臣から党首会談を行いたいということで今うかがってきた。被害者救済と再発防止について政府・与党、特に政府を中心に制度を作っていくことで大筋の合意をした」と述べました。

そして「これから与党と政府で連携を取って対応を進めていきたい。問題の解決に向けて前進を図りたい」と述べました。