65歳以上の介護保険料見直し検討へ 所得に応じた負担に

65歳以上の高齢者が負担する介護保険料について、厚生労働省は一定以上の所得がある高齢者の保険料を引き上げる一方で、所得が一定以下の高齢者については引き下げる方向で、今後、専門家による部会で検討していくことにしています。

65歳以上の高齢者が負担する介護保険料は市区町村ごとに定められた基準額をもとに、所得に応じて支払う額が決められています。

介護保険制度が始まった22年前は全国平均で月2911円だったのが、急速な高齢化が進む中で現在は月6014円と2倍以上になり、今後も保険料の負担額は増えていく見込みで、高齢化がピークとなる2040年度には月9000円程度になると推計されています。

制度開始以降これまでに7回介護保険料の段階的な引き上げが行われていて、所得の低い人にとっては負担が大きくなっていると指摘する声があがっていました。

こうした中、厚生労働省は再来年、2024年度の制度改正に向けて支払い能力に応じた負担の見直しに向けた議論を進めていくことになり、一定以上の所得がある高齢者の保険料を引き上げ、所得が一定以下の高齢者については保険料を引き下げる方向で、専門家から意見を聞きながら検討する方針です。

厚生労働省は10月31日に専門家による部会を開き、介護保険料のほかにも現在は原則1割、所得に応じて2割または3割の負担となる、介護サービスを受けた際の自己負担などについても議論を行う予定で、年内にも議論を取りまとめて制度改正に向けた見直しの方針を固めることにしています。

増える要介護者と介護費用

介護が必要な高齢者の数は高齢化に伴って年々増加し、ことし3月末の時点でおよそ690万人と介護保険制度が始まった2000年4月末の時点の3.2倍に増えました。

また、75歳以上の後期高齢者の数はことし10月の概算値で1940万人ですが、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には2180万人と人口の2割近くを占めるようになると推計されています。

これに伴い介護サービスにかかる費用も年々増加し、今年度の総額は予算ベースで13.3兆円で、機械的な試算では2025年度にはおよそ15兆円に、高齢化がピークを迎える2040年度にはおよそ26兆円に達すると推計されています。

一方で、保険料を支払って制度を支えている40歳から64歳までの世代は減少傾向にあるためこのままでは財源を確保できなくなるおそれがあり、費用を抑制し制度を持続可能なものにするための対策が課題となっています。