安倍元首相 山口県民葬 昭恵さん「豊かな67年の人生」反対集会も

安倍元総理大臣の県民葬が10月15日、山口県下関市で執り行われ、葬儀委員長を務めた村岡知事をはじめ国会議員や県内の経済団体の代表などおよそ2000人が参列しました。

ことし7月、奈良県で演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の県民葬は、15日午後2時から山口県下関市の「海峡メッセ下関」で執り行われました。

県民葬には葬儀委員長を務めた村岡知事のほか、細田衆議院議長や松野官房長官などの国会議員、それに県内の経済や医療といった各団体の代表などおよそ2000人が参列しました。

式典では黙とうがささげられたあと、安倍元総理大臣の生前の姿をまとめた映像が上映され、妻の昭恵さんは涙を浮かべていました。

このあと追悼の辞で村岡知事は「先生は吉田松陰先生のようにたくさんの人々の心に多くの種をまいていかれました。私たちがその種を握りしめ、悲しみを力に変えてそれぞれの花をしっかりと開かせていくことこそが先生が最後に願われていることではないかと感じています」と述べました。

そして、喪主の昭恵さんがあいさつし「信じられないような思いの中で日々がすぎ、だんだんと実感がわいて寂しさが増してきている日々です。主人は多くの方に支えられて、大好きな日本の国のために大きな仕事をさせていただいた豊かな67年の人生だったと思います」と振り返っていました。

このあと下関市の会場では、参列者や一般の人たちが次々と祭壇に向かって献花をしていました。

安倍派 塩谷会長代理「一致結束し遺志継いでいく」

安倍元総理大臣が会長を務めていた自民党・安倍派は、所属する国会議員およそ80人が参列しました。

会長代理の塩谷・元文部科学大臣は、記者団に対し「厳粛に、郷土の温かさに包まれて葬儀が行われ、『安らかにお眠りください』という思いだ。できるだけ多くの人で送りたいという気持ちだったので、皆で参列できて大変よかった」と述べました。

そのうえで、今後の派閥の在り方について「一致結束して安倍氏の遺志を継いでいく。山積する課題にしっかり対応し、岸田政権を支えて日本の政治に貢献することが、基本的な方向だ」と述べました。

献花に多くの人が訪れ列つくる 県庁などで半旗も

山口県内のメイン会場以外の7つの会場では、安倍元総理大臣の県民葬が始まる前の午前10時から献花の受け付けが行われ、山口市の維新大晃アリーナには開場前から多くの人が訪れ列をつくりました。

そして開場とともに遺影が掲げられた献花台の前まで足を運び、花を手向けたうえで、静かに手を合わせて別れを惜しんでいました。

献花に訪れた高校生は「安倍元総理は若い人のことも考えて政治をしてくれたので、自分もそれに恥じぬよう立派な大人になりたい」と話していました。

50代の女性は「日本のために尽くしてくれたのにあんな亡くなり方をされていまだにショックです。献花すれば心の整理ができると思いましたがまだ整理ができていません」と話していました。

また県内では、県民葬にあわせて県庁や一部の県の出先機関、それにメイン会場に半旗が掲げられました。

山口県教育委員会は県立学校に対して半旗を掲揚するよう求めていますが、今回は土曜日ということで指示文書には「可能な範囲で行うように」という文言を付け加えています。

県民葬に反対する市民団体が集会 多額の税金使われると批判

安倍元総理大臣の県民葬のメイン会場となった山口県下関市では、県民葬に反対する市民団体が集会を開き、抗議の声を上げました。

県民葬に反対する市民団体「総がかり行動やまぐち実行委員会」は、下関市のメイン会場の「海峡メッセ下関」から1キロ余り離れた市役所の前で県民葬の実施に抗議する集会を開きました。

集会では、登壇した人たちが「県民葬は県民への弔意の強制につながるうえ、経費の6300万円は給食費の無償化などほかの補助に使うべきだ」などと、多額の税金が使われる県民葬の実施を批判しました。

このあと参加者たちは「県民葬に反対します」などと書かれた横断幕やチラシを掲げながら、「法的根拠がない」とか「県税を県民のために使え」などと声をあげていました。

反対集会は、15日、山口県内の合わせて9か所で開かれ、主催者によりますと下関市の会場ではおよそ80人が参加したということです。

参加した60代の男性は「安倍政治は疑惑の問題が多い中、これだけ多くの税金が県民葬に使われるのは信じられません」と話していました。

70代の女性は「国葬に続き、2回も葬式をする必要はありません。税金は子どもの未来を守るために使ってほしい」と話していました。