Jアラート 東京 大島町で避難施設に逃げ込んだ人は1人もおらず

10月4日に北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際、警戒を呼びかけるJアラートが東京の島しょ部に誤って出されたことが後に分かりましたが、大島町ではJアラートが出された直後、指定された避難施設に逃げ込んだ人は1人もいなかったということで、避難の在り方に課題が見られました。

4日午前、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際、警戒を呼びかけるJアラートが北海道と青森県のほか、東京の島しょ部の9町村に出されましたが、その後、東京の島しょ部に出されたのは誤りだったことが分かりました。

都は、法律に基づいて万が一のミサイルの飛来などによる爆風などからの直接の被害を軽減するため、コンクリートの建物や地下街などの頑丈な施設を「緊急一時避難施設」として指定することを進めていて、先月までに都の人口1400万人分の一時的な避難先をおおむね確保したとしています。

このうち、4日にJアラートが出された大島町には32の施設がありますが、町によりますと、Jアラートが出された直後に指定された避難施設に逃げ込んだ人は1人もいなかったということです。

町長「数分間で避難するのは極めて難しい」

大島町の三辻利弘町長は「避難行動について周知をはかってきたが、たった数分間で施設まで避難するのは極めて難しいと感じた」と話しています。

また「正しい情報を発信してもらうことは重要で誤報はあってはならないことだが、国民を守るということで仕方ない部分はあったのかもしれない。ただ、行政も町民も含め町全体が混乱したので、しっかり対策してほしい」と話していました。

町は4日夕方、町のホームページに避難マニュアルを載せていて、今後訓練を行うなどして万が一の事態に対する町民の意識を高めたいとしています。

避難施設への避難は難しいと考える人も

ミサイルの飛来などによる爆風などからの直接の被害を軽減するための「緊急一時避難施設」への避難が難しいと考える人もいます。

大島町で島の南部の差木地地区に住む菊地かをりさんは4日の朝、Jアラートが出されたとき、自宅の台所で家事をしていました。

けたたましい音で携帯が鳴ったあと、防災行政無線で身を守るよう呼びかけるアナウンスが地区中に響いたと言います。

しかし、菊地さんは何が起きたのか状況を飲み込めず、テレビでミサイルが発射されたことを知りました。

菊地さんはJアラートの対象の地域に大島町が入っていることに不安を感じたものの、外へ出て避難することは考えられず、自宅に居続けることにしました。

ただ、振り返ってみても施設へ避難するのは難しかったと考えています。

菊地さんの自宅から最も近い、都が「緊急一時避難施設」に指定する公民館まで1キロほどの距離があります。

徒歩で移動するには20分ほどかかるうえ、車で移動しようにも同居する義理の母親は車いすを利用していて、母親を車に乗せて出発しても間に合わないというのです。

菊地さんは「直ちに避難しろと言われても、とっさには体は動かないことが分かりました。今の状況を考えると不安ですが、家の中で窓から離れるしかないと思っています。誤報でしたが、これを機会に避難のしかたや身の守り方を考えたい」と話していました。

島からは再発防止求める声

北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際、警戒を呼びかけるJアラートが東京の島しょ部に誤って出されたことについて、伊豆諸島の大島町の人たちからは再発防止を求める声が相次ぎました。

このうち70代の女性は「家で休んでいる時に、携帯と防災行政無線が鳴って驚きました。突然のことだったので避難しようという考えはありませんでした。今後はきちんとした情報を出してほしい」と話していました。

また40代の女性は「子どもを学校に送り届けたあと、車の中でJアラートを聞きましたが、学校は頑丈な建物ではないので、子どもたちのことが不安になりました。誤報ということでしたが、子どもも含めて不安な気持ちになったし、二度とないようにしてほしい」と話していました。