通園バス死亡事件受け対策 ブザー クラクション センサー

通園バス死亡事件受け “10月中に再発防止策まとめ” 少子化相

静岡県で、3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され熱中症で死亡した事件を受けて、小倉少子化担当大臣は、保育の関係者らから通園バスに安全装置を義務化するよう要望されたのに対し、10月中に再発防止策をまとめ、対策を急ぐ考えを強調しました。

小倉少子化担当大臣は14日、保育所や認定こども園などの団体の関係者らと意見交換を行いました。

この中で、全国小規模保育協議会の駒崎弘樹理事は、静岡県で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され熱中症で死亡した事件を受けて「現場は懸命に子どもの安全を守っているが、ヒューマンエラーはどうしても起きてしまうので、置き去り防止装置の設置の義務化をしてほしい」と要望しました。

これに対し、小倉大臣は「どこに子どもがいようが、送迎バスの安全は確保しなければならない。保護者の不安も解消しなければならない。責任感を持って日々仕事に臨んでいるほぼすべての園の職員の、今回の事故を受けた精神的なストレスも一刻も早く解消しなければならない」と述べました。

そのうえで「ヒューマンエラーをどう防いでいくかも含め、10月に再発防止策を取りまとめ、万全の体制を敷いていきたい」と述べました。

通園バス死亡事件受けて「防犯ブザー」の効果を検証 相模原

静岡県の認定こども園で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され熱中症で死亡した事件を受け、相模原市でバスに取り残された子どもが「防犯ブザー」を使って周囲に知らせることができるか検証する実験が行われました。

事件を受け、相模原市では通園バスを運行する市内のすべての幼稚園などに防犯ブザーを設置して、子どもがバスに取り残された場合に、周囲に知らせることができないか検討を進めてきました。

9月14日、市内の幼稚園で市の職員や園の関係者が参加して、バスの中で鳴らした「防犯ブザー」の音がどの程度聞こえるのか検証する実験が行われました。

その結果、バスのドアや窓を閉めきった状態では音がこもり、バスのそばでなければ音が聞こえないことが分かりました。

このあと、複数の防犯ブザーを鳴らしたり、窓を開けた状態で鳴らしたりと条件を変えて実験した結果、運転席の窓が10センチほど開いていれば、バスの外にも音が届くことが確認できたということです。

結果を踏まえ、市は今後、通園バスを運行する市内すべての幼稚園や保育園など94の施設に対し、通園バスの中に防犯ブザーを設置するよう推奨することを決めたということです。

相模原市保育課の遠山芳雄課長は、まずは大人がさまざまな再発防止策を取ることが必要としたうえで「万一に備えバスを運行する施設に対し、防犯ブザーの活用を呼びかけたい」と話していました。

“万一の際はクラクションを”園児に教える 埼玉 狭山

静岡県の認定こども園で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され熱中症で死亡した事件を受けて、埼玉県狭山市の幼稚園で園児たちに万一の際は誰かが助けに来てくれるまでクラクションを鳴らし続けることを教える取り組みが行われました。

この取り組みは、9月12日、狭山市の武蔵野短期大学附属幼稚園で行われ、年少の園児や保護者など合わせて100人余りが参加しました。

園児が通園バスに取り残されたことを想定し、はじめに警察官が、万一の際は誰かが助けに来てくれるまでハンドルのラッパのマークを押し続けることを園児たちに教えました。

このあと園児たちは通園で使うバスの運転席に行って、実際に手で押したり、力が足りない時に備えてハンドルに座ったりしてクラクションを鳴らしていました。

園児の保護者は「すぐにこういった取り組みをしてくれてとてもありがたいです」と話していました。

この幼稚園では、ふだんからバスの運転手と職員が中に残っている子どもがいないか確認しているということです。

小島直子園長は「緊急時には運転席に行って命を守る行動をとるよう園児たちに今後も教えていきたいと思います」と話していました。

置き去り検知センサーの問い合わせ相次ぐ

東京 千代田区に本社がある自動車の部品などを扱う企業では、子どもが車内に置き去りにされ熱中症で死亡する事故を防ごうと、車内の置き去りを検知して外部に知らせるセンサーの販売を来年から始める予定にしています。

このセンサーは海外企業が製造するもので、車内の天井に取り付け、エンジン停止後に車内で人の動きを検知すると、あらかじめ登録された携帯電話にメールが送信され、危険を外部に知らせるものです。

この企業には、今月5日の静岡での事件のあと、全国各地の幼稚園や自治体などから「送迎バスに設置したい」などと問い合わせが8件寄せられたということです。

また、この企業が幼稚園や保育園の送迎バスの運転手などを対象に「ここ1年間で送迎バスに子どもを残したまま車を離れたことがあるか」をインターネットで尋ねたところ、回答した267人中、5.6%にあたる15人が「車内に園児だけにした」と回答したということです。

三洋貿易の平澤光康上級執行役員は「ヒューマンエラーによる痛ましい事件が繰り返されないように、システムやハード面を強化することで子どもの命を守っていきたい」と話していました。