天皇皇后両陛下 エリザベス女王の国葬に参列へ 岸田首相の予定はなし

松野官房長官は、ロンドンで9月19日に行われるイギリスのエリザベス女王の国葬に、イギリス王室の招待を踏まえ、天皇皇后両陛下が参列されることを発表しました。
両陛下の外国訪問は、天皇陛下の即位後初めてとなります。

9月8日に死去したイギリスのエリザベス女王の国葬は、19日にロンドンのウェストミンスター寺院で行われ各国の王族や首脳らが参列する見通しです。

松野官房長官は、午前の記者会見で「英国王室の招待を踏まえ、天皇皇后両陛下にご参列を願うことにした」と述べました。

9月17日から20日の日程で現地を訪問される予定で、政府は、16日の閣議で、正式に決定することにしています。

両陛下の外国訪問は、天皇陛下の即位後初めてとなります。

松野官房長官は、両陛下の参列の理由について「英国王室とわが国の皇室とは、かねて親しい関係にあり、ことにエリザベス女王は、70年にわたる在位の間、昭和天皇、上皇さま、天皇陛下と3代にわたり、交流をされてきた」と述べました。

そのうえで「令和になってからも、新型コロナの関係で延期になってしまったが、エリザベス女王ご自身より、天皇皇后両陛下の英国訪問の招待をいただいていたことなどを勘案した」と述べました。

一方、エリザベス女王の国葬に、岸田総理大臣が参列する予定はないということです。

天皇陛下の葬儀参列は異例

天皇が外国の王室や国家元首の葬儀に参列するのは皇室の慣例からして異例のことで、宮内庁によりますと平成5年にベルギーのボードワン国王の国葬に当時、天皇皇后だった上皇ご夫妻が参列された時だけで、今回が2度目になります。

エリザベス女王の国葬については、9月10日にイギリス政府から招待状が届き、天皇陛下の意向を踏まえて政府と宮内庁の間で検討が進められたということです。

皇室とイギリス王室は、昭和28年に上皇さまがエリザベス女王の戴冠式(たいかんしき)に昭和天皇の名代として出席されるなど古くから親密な関係にあります。

天皇陛下も大学院在学中にイギリスのオックスフォード大学に留学し、その後も3回にわたってイギリスを公式訪問し、エリザベス女王と夕食をともにするなど交流を深められてきました。

こうしたこれまでの交流や関係性から、両陛下が参列される方向で検討が進められたということです。

国葬にはヨーロッパ各国から王族など参列へ

ロンドンで19日に行われるエリザベス女王の国葬には、アメリカのバイデン大統領などが参列する意向を示しているほかヨーロッパ各国からも王族などが参列する見通しです。

▽オランダ王室は12日、アレキサンダー国王とマキシマ王妃が、▽ベルギー王室は、フィリップ国王とマチルド王妃が参列することを明らかにしました。

また、▽デンマーク王室は13日、女王マルグレーテ2世が、▽スウェーデン王室はカール16世グスタフ国王とシルビア王妃がそれぞれ参列することを発表しました。

一方、ドイツのシュタインマイヤー大統領やイタリアのマッタレッラ大統領、それにEUのフォンデアライエン委員長も参列する意向を示しています。

侍従長をイギリス大使館に派遣し弔意

宮内庁によりますと、両陛下は12日午後5時、弔問の使いとして側近トップの別所浩郎侍従長を東京 千代田区のイギリス大使館に派遣し、大使に弔意を伝えられたということです。

また、上皇ご夫妻も、河相周夫上皇侍従長を、弔問のため大使館に使わされたということです。

両陛下と上皇ご夫妻は、エリザベス女王の死去を受けて、9日、電報でチャールズ国王に弔意を伝えられていました。