秋葉国家安全保障局長 中国 楊氏と会談 台湾情勢などで7時間

秋葉国家安全保障局長は、中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員と7時間にわたって会談しました。台湾海峡をめぐる緊張が高まる中で会談が行われた背景には、日中国交正常化50年の節目に、関係が決定的に悪化するのを避ける双方のねらいがあるものとみられます。

台湾海峡をめぐっては、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反発した中国が、大規模な軍事演習を行うなど緊張が高まっていて、発射された弾道ミサイルの一部が、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下するなど、日中関係にも影響が及んでいます。

今回の会談は中国の呼びかけで、17日午後に北京に隣接する天津で行われ、7時間にわたって意見が交わされました。

秋葉局長は、中国軍の軍事演習は、地域や国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものだとして抗議し、自制を求めました。

一方で、両国の国交正常化50年の節目を来月に控えていることも踏まえ、対話の重要性を再確認し、両国の「建設的かつ安定的な関係」の構築に向けて対話を継続していくことで一致しました。

日中両国は、中国が海洋進出の動きを強めていることに加え、ウクライナ情勢での立場の違いなどもあり関係が悪化していて、台湾情勢の緊張も波及し、さらに厳しさを増しています。

今回の会談の背景には、国交正常化50年を前に、関係が決定的に悪化するのを避ける双方のねらいがあるものとみられます。

日中関係をめぐって、岸田総理大臣は先の記者会見で「今のような時こそ、しっかり意思疎通を図ることは重要だ」と述べていて、政府としては、国交正常化50年の節目も見据えつつ、関係改善の模索を続けていく方針です。

※チ=竹かんむりに褫のつくり。

楊氏「台湾問題は中国と日本両国間の基本的な信頼に関わる」

中国外務省によりますと会談の中で、楊政治局委員は「台湾は、中国の領土の不可分の一部分だ。台湾問題は中国と日本の関係の政治的な基礎、そして両国間の基本的な信頼に関わるものだ」と述べました。

そのうえで、日中関係について「中国と日本の2000年以上の歴史と国交正常化50年の歩みは、平和共存、友好と協力が両国関係の唯一の正しい選択だということを明確に示している。日本は、両国と両国の人々の長期的な利益に焦点を当て、中国に対する正しい認識を確立し、前向きで現実的かつ理性的な対中国政策を追求すべきだ」と強調したということです。