“中国が弾道ミサイル9発発射 ”防衛省

防衛省は、中国が4日午後に弾道ミサイル9発を発射したとみられると発表しました。
このうち5発は日本のEEZ=排他的経済水域の内側に設定されている中国の訓練海域に落下したとみられるということです。
中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてだということです。

防衛省は、中国が4日午後3時ごろから4時すぎにかけて、内陸部のほか台湾に近い福建省と浙江省の沿岸から、合わせて9発の弾道ミサイルを発射し、およそ350キロから700キロ飛んだと推定されると発表しました。

このうち5発は、沖縄県波照間島の南西の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に設定されている中国の訓練海域に落下したとみられるということです。

中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてだということです。

5発のうち4発は台湾本島の上空を飛しょうしたと推定されるとしています。

また最初に発射された1発は、沖縄県与那国島の北北西に設定された中国の訓練海域の内側の日本のEEZの外に落下したとみられるとしています。落下地点は与那国島からの距離がおよそ80キロだということです。

このほかの3発は台湾の南西と北部に設定されている中国の訓練海域にいずれも落下したとみられるということです。

これまでのところ、日本の航空機や船舶の被害などの情報は確認されていません。

防衛省は、日本のEEZを含む近海に設定された訓練海域に弾道ミサイルが落下しており、日本の安全保障や国民の安全に関わる重大な問題だとして強く非難するとしています。
そのうえで引き続き情報の分析や警戒・監視にあたるとしています。

岸防衛相 “安全保障や国民の安全に関わる重大な問題 強く非難”

これについて岸防衛大臣は4日夜、防衛省で記者団に対し、中国が4日午後3時ごろから4時すぎにかけて9発の弾道ミサイルを発射し、このうち5発が、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したと推定されることを明らかにしました。

そのうえで「わが国のEEZとわが国の近海に設定された訓練海域に弾道ミサイルが落下しており、わが国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題であり、強く非難する。また、中国に対して外交ルートを通じて抗議した。防衛省・自衛隊としては引き続き情報の収集、分析、警戒監視などに全力をあげていく」と述べました。

林外相 “アメリカと緊密に連携を確認”

林外務大臣は日本時間の4日夜、訪問先のカンボジアで記者団に対し「中国の弾道ミサイルが排他的経済水域を含むわが国近海に落下したことは、わが国の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題だ」と述べ、外交ルートで中国に抗議したと説明しました。

その上で、中国の行動は地域と国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものだとして軍事演習の即刻中止を改めて求めると強調しました。

さらに林大臣は「アメリカのブリンケン国務長官と立ち話を行い、中国による弾道ミサイルの発射を強く非難することで一致し、地域の平和と安定のため引き続き緊密に連携していくことを確認した」と述べました。

外務省 森事務次官 中国の駐日大使に抗議

外務省の森事務次官は、記者団に対し、中国の孔鉉佑駐日大使に電話で抗議し「わが国の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題であり、中国の行動を非難する」と伝えたことを明らかにしました。

そのうえで「中国の行動は地域と国際社会の平和と安定に深刻な影響を与える」として、軍事訓練を即刻中止するよう求めたとしています。

また日中外相会談が見送られたことについて、森次官は「G7外相声明は非常に正当な内容であり、これを理由に会談をキャンセルするのは適切ではない。国際情勢が緊張しているときこそ堂々と会談を行い、意思疎通を図るべきだと申し入れた」と述べました。

海保 船舶などへの被害情報なし

第11管区海上保安本部によりますと、これまでのところ沖縄県内で船舶などへの被害の情報は入っていないということです。

日米外相 中国の弾道ミサイル発射を強く非難

林外務大臣は、訪問先のカンボジアでアメリカのブリンケン国務長官と立ち話の形で意見交換し、中国による弾道ミサイルの発射を強く非難するとともに、地域の平和と安定のため引き続き両国で緊密に連携していくことを確認しました。

ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議に出席するため、カンボジアを訪れている林外務大臣は、4日夜、アメリカのブリンケン国務長官と立ち話の形で意見を交わしました。

この中で、林外務大臣は「中国の弾道ミサイルが排他的経済水域内を含む日本の近海に落下したことは、わが国の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題だ」と述べ、中国側に抗議するとともに軍事演習の即刻中止を求めたことを説明しました。

そのうえで両外相は、中国による弾道ミサイルの発射を強く非難するとともに、地域の平和と安定のため、引き続き両国で緊密に連携していくことを確認しました。

これに先立って林大臣は、ブリンケン長官、オーストラリアのウォン外相と日米豪3か国の外相会談を行い、中国の一連の軍事活動に深刻な懸念を表明するとともに、地域の安定に向けた連携が重要だという認識で一致しました。

また3人の外相は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、3か国を含めさまざまな同盟国や同志国の枠組みで効果的に協力していくことを確認しました。

中国 “軍事演習区域に日本のEEZ含まれる見解は存在しない”

中国軍は4日、台湾を取り囲むように大規模な演習を始め、台湾の周辺海域に向けて弾道ミサイルを発射しました。
弾道ミサイルの一部は日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下しましたが、中国側は「両国は関連海域で境界を画定しておらず、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と主張しています。

中国軍は4日、台湾を取り囲むように合わせて6か所の海域と空域で「重要軍事演習」を始め、台湾東部の海域に向けて複数のミサイルを発射したほか、台湾海峡に向けて長距離の実弾射撃演習を行ったと発表しました。

これについて、台湾国防部は、中国軍が4日、台湾の北部や南部、それに東部の周辺海域に向けて11発の弾道ミサイルを発射したと発表しました。

日本政府は発射された弾道ミサイルのうち、5発が日本のEEZの内側に落下したと推定されるとして中国側に抗議しました。

日本側の抗議に対し、これまでのところ中国政府の公式な反応はありませんが、日本側が演習区域に日本のEEZが含まれているとして懸念を伝えたことについて、中国外務省の華春瑩報道官は、4日の記者会見で「両国は関連海域で境界を画定しておらず、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と主張しました。

一方、国営の中国中央テレビに出演した軍事専門家は、弾道ミサイルの一部が初めて台湾の上空を通過したという見方を示しました。

演習は7日まで行われ、台湾周辺では緊張した状況が続いています。