紀藤正樹弁護士“旧統一教会への規制 事件の背景 検証を”

「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会をめぐり、高額な献金を迫られた被害者の支援などに長年携わってきた弁護士が、立憲民主党の会合に出席し、教会への規制の検討に加え、国会に安倍元総理大臣の銃撃事件に関する調査委員会を設けて、事件の背景などの検証を行うよう訴えました。

立憲民主党は7月22日、国会内で会合を開き、旧統一教会側から高額な献金を迫られた被害者の支援などに長年携わってきた弁護士の紀藤正樹氏にヒアリングを行いました。

この中で、紀藤氏は「旧統一教会は、本人の財産状況を確認して、ギリギリまでお金を出させる手法で、過去30年余りで1230億円以上の被害が確認されている。行政側は、宗教団体による霊感商法には、信教の自由などからタッチできないという認識があり、問題の根深さにつながっている」と指摘しました。

そのうえで「本格的なカルト対策がなければ、消費者問題には役に立たない。欧米では、オウム真理教による事件をきっかけに、いろんな対策を行ってきたが、日本だけがほとんど手付かずで来ている。政争の具にせず、超党派で旧統一教会への規制を検討してほしい」と述べました。

そして、紀藤氏は、安倍元総理大臣の銃撃事件について、国会に調査委員会をすみやかに設置し、事件の背景や防止策の検証を行うよう訴えました。

安倍元首相銃撃 容疑者母 “旧統一教会に申し訳ない”趣旨の話

安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件で、逮捕された容疑者は母親が入信している「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会への恨みから事件を起こしたとみられていますが、容疑者の母親が検察の聞き取りに対し、旧統一教会に迷惑をかけて申し訳ないという趣旨の話をしていることが分かりました。

今月8日、奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件で、警察は、奈良市に住む無職、山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。

容疑者は「母親が旧統一教会にのめり込み多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」と供述していて、旧統一教会に恨みを募らせた末に安倍元総理大臣が近しい関係にあると思って事件を起こしたとみられています。

この事件の捜査で、容疑者の母親に対しては検察が聞き取りを行っていますが、立ち会った親族への取材で、母親が旧統一教会について「事件で批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ない」という趣旨の話をしていることが分かりました。

親族によりますと、検察の聞き取りはこれまで2回行われていますが、母親は質問を受けて答え始めるまで10分以上かかることもあったということです。

また事件前、母親は「死んだ夫の霊がさまよっていて献金するとしかるべき所におさまる」と話していて、息子の山上容疑者と献金をめぐっていさかいがあったということです。

「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会はNHKの取材に対し「当法人が十分に支えきれなかったことを率直に認めざるをえません。山上家庭を襲った悲劇に対しては哀憐の情を禁ずることができません」などとコメントしています。