安倍元首相の「国葬」自民党役員会で理解求める 岸田首相

演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀をめぐり、岸田総理大臣は、19日、自民党の役員会で、ことし秋に「国葬」で行う方針を説明し理解を求めたのに対し、党幹部からは、安倍氏の業績や国内外の評価を踏まえ、国葬が適切だという意見が相次ぎました。

この中で、岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について「内政・外交の大きな功績や、幅広い哀悼の意が表されていることに鑑み、この秋にいわゆる『国葬』を行うこととした。警備態勢を改めて強化するとともに、活発な弔問外交も予想されるのでしっかり準備していきたい」と理解を求めました。

これを受けて、麻生副総裁が「安倍氏の業績は国内外から高く評価されており、国葬は極めて正しい判断だという認識を共有したい」と述べ、茂木幹事長も「国葬がふさわしく、適切で、党も最大限、協力していきたい」と述べました。

一方、茂木氏は記者会見で、安倍氏の国葬をめぐり、野党の一部から反対や懸念の声が出ていることについて「政府が閣議決定を根拠に国葬を行うことは法律上も全く問題ない。野党の皆さんが何を考えているかわからないが、国民の声や認識とかなりずれているのではないか」と指摘しました。

また茂木氏は、安倍氏の死去を受けて、先週11日から15日まで党本部の敷地内に設けた献花台と記帳台に、およそ1万8000人が訪れたことを明らかにしました。

安倍元首相の弟 岸防衛相「親族として名誉なこと」

安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は、記者会見で「親族としては名誉なことだ。『国葬』という形で、粛々と行うということだと思う」と述べました。

一方、野党の一部から反対や懸念の声が出ていることについて「さまざまな意見があることは承知しており、最終的には岸田総理大臣の判断になると思う」と述べました。

また、岸大臣は、記者団から、安倍氏の死去が国家安全保障戦略の改定などに与える影響を問われたのに対し「安倍元総理大臣は一議員としても発言の影響力が大きかった。遺志を継いだ議員にバックアップしてもらえるのではないか」と述べました。

公明 山口代表「決断を評価する」

公明党の山口代表と岸田総理大臣は、総理大臣官邸で昼食をとりながら、およそ1時間会談しました。

この中で岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長となる総理大臣の在任期間中に内政・外交で大きな功績を残したなどとして「国葬」で行う方針を説明しました。

これに対し、山口氏は「決断を評価する」とした上で、できるだけ広く国内外から弔意が示されるような取り組みを期待したいと伝えました。

山口氏は記者団に対し「岸田総理大臣とは、国葬の大きな意義を広く国民に理解してもらった上で、成功裏に開催できるよう気を配っていこうと話をした」と述べました。

維新 松井代表「意義と理由 国会で丁寧に説明すべき」

日本維新の会の松井代表は大阪市で記者団に対し「遺族に批判が向くおそれもあり、税金を使って国葬をやるのなら、意義と理由を国会で丁寧に説明すべきだ。反対する政党やその支持者はさまざまな懸念を持っているだろうし、全面的な賛成にはならないかもしれないが、消極的でも納得してもらわないと、安倍元総理大臣も報われないと思う。賛成、反対双方の国民に岸田総理大臣は説明する責任がある」と述べました。

国民 玉木代表 “意義や法的根拠 丁寧に説明を”

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「外国から賓客が来ることを前提にすれば、その警備も含めたロジ面は万全を期さなければならないので、一定程度公費を使って対応することは理解する。ただ、反対している国民がいることもよく理解できるので、政府としては、国葬とする意義や法的な根拠、そしてどういう基準で国葬にするのかなどについて、丁寧に説明していくことが必要だ」と述べました。