安倍元首相「国葬」方針
野党各党は賛否両論

演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀を「国葬」で行うとした政府の方針をめぐり、野党各党の反応は「理解できる」とする意見の一方「国民の中で安倍氏の政治的評価は大きく分かれている」などと指摘する意見もあり、賛否両論が出ています。

岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政、外交で大きな実績を残したなどとして、ことしの秋に「国葬」で行う方針を表明しています。

この方針をめぐって、
▽国民民主党は「国の内外から哀悼の意が寄せられており、理解できる」としています。

一方、
▽立憲民主党は「厳粛に行うものであり、静かに見守りたい」としているほか、
▽日本維新の会は「反対ではないが、大々的に国葬を行えば経費もかかるので、その批判が遺族に向かわないことを願う」と懸念を示しています。

また、
▽共産党は「国民の中で安倍氏の政治的評価は大きく分かれており、国葬を行うのは弔意の強制につながるおそれがある」と反対し、
▽れいわ新選組と、
▽社民党も反対していて、
野党各党からは賛否両論が出ています。

立民 泉代表 “閉会中審査で説明求めたい”

演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀を「国葬」で行うとした政府の方針をめぐり、16日、立憲民主党の泉代表は予算など不明な点が多いとして、早急に国会で閉会中審査を開き、政府に説明を求めたいという考えを示しました。

岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことし秋に「国葬」で行う方針を表明しています。

これについて立憲民主党の泉代表は、奈良市内で記者団に対し「歴代の総理大臣が亡くなられた際には、国が関与して一定の格式で見送ることはこれまでも行われてきており、すべて否定はしない。ただ、政府の対応にはまだまだ不明な点が多く、予算や『国葬』の考え方について説明を求めるため閉会中審査を求めたい」と述べ、国会で政府に説明を求めたいという考えを示しました。

また、政府が「国葬」を行うと判断した理由について「格差の拡大や国会での虚偽答弁の数々などには触れられていない。『国葬』がふさわしいかどうかは慎重に議論すべきだったし答えを出すには早すぎたと思う」と指摘しました。

共産 小池書記局長「国葬の実施には反対」

共産党の小池書記局長は15日、記者会見で「安倍元総理大臣の実績を全面的に礼賛する立場で国葬を行うことは、国民の中で評価が大きく分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を国家として全面的に公認することになってしまう」と述べました。そのうえで「こうした形で国葬を行うことが個々の国民に対し事実上の弔意の強制につながることも強く懸念しており、国葬の実施には反対だ」と述べました。

れいわ 「政府の決定に強く反対」

れいわ新選組は15日、コメントを発表し「国葬を行うという政府の決定に強く反対する。政治家の非業の死と生前の政治的評価は分けて論ずるべきだ。政策的失敗を口に出すこともはばかられる空気を作り、神格化するような国葬はおかしい」としています。

社民 服部幹事長「政治的評価を事実上強制は行うべきではない」

社民党は15日、服部幹事長の談話を発表し「『国葬』の基準があいまいであり安倍元総理大臣に対する政治的評価が大きく分かれる中、国家が国葬として国民に政治的評価を事実上強制することは行うべきではない」などとして反対しています。