参議院選挙18・19歳の投票率34.49%全体を17.56ポイント下回る

総務省によりますと、7月10日に投票が行われた参議院選挙で、18歳と19歳の投票率は、速報値で34.49%で、前回3年前の選挙より3.16ポイント高くなりました。

参議院選挙は、前々回2016年の選挙から、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました。

総務省は、今回の参議院選挙で、全国4万6016か所の投票区の中から、標準的な投票率を示している188の投票区を抽出し、その投票状況をもとに、18歳と19歳の投票率の速報値を算出しました。

それによりますと、18歳の投票率は38.67%、19歳の投票率は30.31%でした。

18歳と19歳の投票率は34.49%で、前回3年前の選挙の同じ速報値と比べると3.16ポイント高くなりました。

今回の参議院選挙全体の投票率52.05%に対しては、17.56ポイント下回りました。

参院選期間中に実践的な主権者教育

今回の選挙期間中に実践的な主権者教育を行ったのは千葉県の県立東葛飾高校で、有権者となった18歳を含む3年生300人余りを対象に「政治・経済」の授業で取り組みました。

18歳は6年前から投票できるようになりましたが、ことし4月の成人年齢の引き下げに伴い、今回から「成人」として1票を投じることになるため、公民科の教員は実際の候補について調べる方法も生徒たちに委ねました。

生徒たちは、高校のある千葉選挙区の14人の候補者について、選挙公報や候補者のウェブサイトを見て、景気対策や教育、労働といった優先したいテーマごとに点数をつけて順位を決めたり、自分と考えの近い候補者が分かる「ボートマッチ」と呼ばれるウェブサイトを使ったりして考えをまとめていました。

生徒どうしは議論を交わしていましたが、教員は自分の意見で生徒の投票行動を左右しないよう▽特定の候補者名や政党名を挙げないようにし、▽政策の評価については発言を控えて見守っていました。

最後には、実際に千葉選挙区の候補者の名前を書いて、模擬の投票箱に1票を投じていました。

千葉県立東葛飾高校の内久根直樹教諭は「政治的に中立な授業ができるのかと萎縮する先生もいると思いますが、成人年齢の生徒もいるので調べ方もすべて任せて中立な立場を取りました。休み時間に政策について話す生徒たちを見て、政治を自分事として考えられていると効果を感じました。いろんな意見があることを教室の中で感じながら、社会を作る一員として育ってほしいです」と話していました。

専門家「学校と政治を近づける取り組み 学ぶところ多い」

主権者教育に詳しい東京大学大学院の教育学研究科長の小玉重夫教授は、選挙期間中に有権者のいるクラスで実際の候補者を題材にした授業について「実際の政治家や政党、争点を具体的に取り上げることは何よりも重要な教材になり、学校と政治を近づける実践的な取り組みで学ぶところが多い。選挙期間中であればこそ一緒に議論し、考えないといけないと思う」と話しました。

国は実践的な主権者教育を行うよう求めていますが、政治的中立性を意識して授業で政治を扱うことをためらう教員もいるとして「日本では、萎縮して政治を扱わない学校もまだまだ見られ、高校生が社会や政治から遠ざけられてきた側面もある。18歳が成人として投票する時代においては、むしろ積極的に参加して主権を行使していく存在になっていくことが求められるので、政治をタブー視せずむしろ友人と語り合うのが当たり前という日常を作っていくことが、日本に民主主義を根付かせるためには非常に重要だと思います」と話していました。