auやUQ大規模通信障害 金子総務相「重大事故に該当と認識」

KDDIの大規模な通信障害を受けて、7月3日午前10時から金子総務大臣が緊急の記者会見を開き「国民生活や社会経済の重要インフラである携帯電話サービスについて極めて多くの方々が長時間、利用困難な状態になっていることは大変遺憾だ。特にコロナや熱中症のリスクが高まっており、かつ台風4号が沖縄県や鹿児島県奄美地方に接近しつつあるタイミングにもかかわらず、国民の生命・財産を守るための消防、救急などの緊急通報に支障を生じさせたことは、深刻に受け止めている」と述べました。

そして「会社からの報告を踏まえれば、電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識している。今回の障害は去年のNTTドコモの障害と比べても影響が大きいと思われる。正式な報告を受けたうえで、しかるべき必要な対応をしっかりと取っていく」と述べました。

KDDI社長「最大3915万の利用者に影響可能性」

KDDIの高橋誠社長は3日午前11時から記者会見を開き、2日未明からの大規模な通信障害について「社会インフラを支える、また安定したサ-ビスを提供する立場である通信事業者として、深く反省しています。お客様には多大なご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」と陳謝しました。

さらに法律上の「重大事故」にあたるという認識を示したうえで「まずは収束を第一にするがしっかり対応をしたい」と述べました。今回の通信障害ではauやUQモバイル、povoの利用者のほか、KDDIの回線を利用している格安スマホ事業者の利用者なども含め最大で3915万の利用者に影響した可能性があるとしています。
みずからの経営責任については「これだけ大きな事故を起こし、非常に申し訳なかったと思っていて、経営者として大きな責任があると思う。ただ、今は一刻も早くネットワークを元の状況に戻さないといけないので、今回起きたことを真摯に受け止めて1日も早く復旧を目指したい」と述べました。

また記者会見の中で通信障害の原因について言及がありました。
2日未明、通信ネットワークの保守・管理のため機器の交換を行っていたところ、不具合が起き、15分間にわたって音声通話ができなくなるトラブルが発生しました。
このため、もとの機器にデータを戻す作業を行いましたが、音声通話を管理する交換設備にアクセスが急増し「ふくそう(輻輳)」と呼ばれる状態になりました。
アクセスの集中により完全にネットワークが使えなくなることを防ぐため、通話やデータ通信を制限せざるをえなくなり、通じにくい状態が全国に広がったということです。さらに、通話や通信に必要なデータ処理が追いつかなくなったことも、障害が長引いた要因だとしています。

これまでの「法律上の重大事故」の事例は

携帯電話会社の通信障害については、電気通信事業法に基づき、110番や119番などの緊急通報が可能な携帯電話のサービスに影響が出ている場合などは「重大事故」にあたり、総務省への報告が義務づけられます。
具体的には、1時間以上にわたって3万人以上の利用者に影響が出た場合などには「重大事故」にあたると定められていて、これまでもたびたび起きています。

去年10月にNTTドコモで起きた大規模な通信障害では、利用者が最も多い4Gなどで、およそ半日にわたって影響が続いたほか「ガラケー」と呼ばれる携帯電話に使われる3Gの通信では完全に回復するまで29時間かかりました。
この時は、通話やデータ通信が利用しづらくなるなどの影響が延べ1290万人に及び、総務省は再発防止などを指示する行政指導を行いました。

また、2018年12月のソフトバンクの通信障害では、4時間半にわたっておよそ3060万人が通話とデータ通信を利用できなくなりました。
総務省は、ソフトバンクがこの年に合わせて3回通信障害を発生させたことを重くみて、再発防止の徹底を求める行政指導を行いました。

また今回、通信障害を起こしたKDDIも2013年4月に最大288万人がメールを送受信できなくなる通信障害を起こしています。

新型コロナウイルス感染者との連絡に支障が出ている自治体も

沖縄県によりますとKDDIの大規模な通信障害の影響で、県のコロナ対策本部や保健所が行っている感染者への連絡に支障が出るなどの影響があったということです。
また神奈川県相模原市でも新型コロナウイルスに感染し自宅で療養している人に行っている健康観察に影響が出ているということです。連絡先として登録されている携帯電話がつながらない人が複数出ているということで相模原市では緊急時には固定電話から119番するようホームページ上で呼びかけています。