マスク着用 “会話行わない場合必要なし” 熱中症に注意を

全国各地で35度以上の猛暑日が予想される中、後藤厚生労働大臣は、屋外でのマスクの着用について、周りの人と距離がとれる場合や、距離がとれなくても会話をほとんど行わない場合には、着用の必要がないことを強調し、熱中症への注意を呼びかけました。

新型コロナ対策としてのマスク着用をめぐって、政府は、
▼屋内では、周りの人との距離がとれ、会話をほとんど行わない場合に、
▼屋外では、周りの人と距離がとれる場合や、距離がとれなくても会話をほとんど行わない場合には、
着用の必要はなく、特に夏場は熱中症予防の観点から外すことを推奨する考え方を示しています。

これについて、後藤厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「熱中症などの危険があることは十分申し上げてきた。屋外では、近い距離ではないか、または話をしないというのであれば、マスクをとり、熱中症などに十分注意してもらうよう広報している」と述べ、必ずしも着用の必要がないことを強調しました。

そのうえで「広報用のパンフレットを配布し、今月中にはテレビCMも放送するが、それぞれの場合に応じた分かりやすい広報をしていきたい」と述べ、こうした考え方を改めて周知する考えを示しました。

一週間の熱中症搬送 全国で4551人 前週の3.4倍 一層の警戒を

各地で猛暑日が相次いだ6月26日までの1週間に、熱中症で病院に運ばれた人は、総務省消防庁のまとめで全国で4551人と、その前の週の3倍余りに達したことがわかりました。7月3日にかけて厳しい暑さが続く見通しで、熱中症への一層の警戒が必要です。

総務省消防庁によりますと、6月20日から26日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で4551人と、前の週の3.4倍と急増しました。
このうち、死亡した人は4人です。

症状別の程度をみますと
▽入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて1507人、
▽「軽症」が2982人でした。

搬送された人を年齢別に見ると
▽65歳以上の高齢者が2458人と半数以上を占めています。

▽18歳以上65歳未満が1493人
▽7歳以上18歳未満が568人
▽0歳から7歳未満が32人となっています。

熱中症の発生場所では、
▽「住居」が1698人と最も多く
次いで
▽歩道などを含む「道路」が823人
▽競技場や駐車場などが634人
▽道路の工事現場などの「仕事場」が419人などとなっています。

東京都監察医務院がおととしの夏に、東京23区で熱中症で亡くなった人を対象に調べたところ、屋内で亡くなった人のうち半数以上がエアコンを使用していなかったということです。

1人で暮らす高齢者には、離れて住む家族の方や周囲の人が声をかけるなど、注意を促すよう心がけてください。

日本救急医学会が熱中症に注意呼びかけ

各地で35度以上の猛暑日となるなど猛烈な暑さが続く中、日本救急医学会は熱中症の患者が災害レベルで発生するおそれがあるとして、ためらわずに冷房を使用するなど予防を徹底するよう呼びかけました。

これは救急の専門医などで作る日本救急医学会が28日、オンラインで会見を開いて呼びかけました。

それによりますとことしは例年以上に梅雨明けの時期が早く、暑さに体が慣れていない人が多いことなどから、熱中症の患者が災害レベルで発生するおそれがあるということです。

特に、高齢者では
▽体を動かす機会が少なく、暑さに慣れていないことや
▽高血圧や糖尿病の薬などを服用している場合、脱水を招きやすいこと
それに
▽経済的な問題などでエアコンを使わない人がいることなどから、熱中症のリスクが高いということで、去年までの5年間に熱中症で救急搬送された人のおよそ半数が65歳以上だったということです。

このため学会では
▽不要不急の外出を控えることや
▽エアコンをためらわずに使用することなど予防策を徹底するよう呼びかけました。

会見した日本医科大学付属病院の横堀將司高度救命救急センター長は「節電の要請が出ているが、エアコンの節電は後回しにして、こまめに室温を調節をしてほしい。また、高齢者で1人暮らしの人や寝たきりの人が身近にいれば気にかけてほしい」と話しています。