首相“新型コロナの感染症分類見直し現実的でない”

新型コロナの感染者数が全国的に減少傾向となる中、岸田総理大臣は13日参議院決算委員会で、いまは平時への移行期間で感染対策を継続しながら社会経済活動を回復させる段階だとして、新型コロナの感染症法上の扱いを季節性のインフルエンザと同程度に見直すのは現実的ではないという認識を示しました。

▽自民党の小野田紀美氏は新型コロナの感染症法上の扱いをめぐり「子どもたちは、学校生活で部活の大会や発表会がなくなったり、修学旅行に行けなかったりと我慢してきた。感染症法上の分類を『五類』に引き下げるなどして子どもたちが当たり前の学校生活を取り戻せるよう決断してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「いまは平時への移行期間と位置づけて、現状の感染症対策を維持し社会経済活動を少しずつ動かしていく段階だ。感染症法上の分類を今の段階で動かすことは現実的ではなく、タイミングをしっかり考えていくべきだ」と述べました。

▽立憲民主党の杉尾秀哉氏は「新しい資本主義」の実現に向けて政府が個人の金融資産を貯蓄から投資に促すための「資産所得倍増プラン」を策定することについて「投資にはもともとリスクがある。資産運用や貯蓄ができる人はいいが、できない人は取り残される。格差は縮小するよりも拡大するのではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「所得の引き上げと資産所得の引き上げをセットにすることが大事で、去年から賃上げ税制をはじめとしたさまざまな政策を申し上げ、ことしの春闘でも久方ぶりに賃上げのトレンドが出てきた。賃上げをしっかりと進め、合わせて資産所得のさまざまな活用を図ることが大事だ」と述べました。

▽公明党の里見隆治氏はウクライナから日本に避難してきた人への支援について「3月上旬に支援が開始されたが今後の不安をなくすためにも、身元引き受け人の有無にかかわらず、当面6か月とされていた期限を超えて生活費の支給など継続的な支援を行うべきではないか」と提案しました。

岸田総理大臣は「身元の引き受け先のない方々には一時滞在場所の提供や生活費などの支援を、また、引き受け先がある方々にも個別の状況に応じて必要な支援を行っている。当面6か月程度とした期間が経過したあとの支援のあり方は今後のウクライナ情勢や避難民の生活状況を踏まえて適切に判断したい」と述べました。

▽国民民主党の矢田稚子氏は政府が先に行った18歳以下への10万円相当の給付をめぐり「半額をクーポン券で支給すると最初に指示し、事務経費に969億円かかると説明があった。所得制限が適用されおよそ200万人の子どもが対象外となったが、クーポン券方式を採用しなければ、不受給の子どもたちにも単純計算で4万8450円を渡せたことになる」と指摘しました。

岸田総理大臣は「所得制限を設けたが、給付を行う必要性の高い子育て世帯に対して幅広く支援を行うことができたと考えている。各制度の所得制限のあり方は、目的や支援方法に応じて必要性が判断されるもので、必要な支援が届けられるよう努力したい」と述べました。

▽日本維新の会の梅村みずほ氏は「いじめの重大事態について、学校の協議会などで解決を見ない場合は市区町村の教育委員会が主催する第三者委員会で調査することが多いが、全国的に不誠実な対応や隠蔽体質が散見される。教育委員会制度の廃止や見直しが必要ではないか」と質問しました。

岸田総理大臣は「教育委員会制度の廃止などは慎重に対応すべきだ。いじめ問題などに対しては、自治体の長の部局と教育委員会が相互の連携を強化していくことが重要だ。今後は『こども家庭庁』が司令塔機能を発揮して、学びと育ちの両面から文部科学省などの関係省庁や地方自治体と連携して子どもたちを支援していきたい」と述べました。

▽共産党の大門実紀史氏は「所得が低い層ほど、物価高騰による負担が重く、消費税も所得が低い層ほど負担が重い。逆進性の強い消費税を減税すべきではないか。ウクライナ危機の物価高騰で、急速に減税に踏み出している国が増えており決断すべき時ではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「生活必需品の物価が上昇しており、特に低所得者の負担感が相対的に増加していることはしっかり受け止めなければならないが、税制は国によってさまざまで、わが国では消費税は社会保障の安定財源と位置づけられている。消費税減税は政府としては考えず、さまざまな政策を重層的に用意する形で困窮されている方を支えたい」と述べました。