「新しい資本主義」実行計画案 「資産所得倍増プラン」策定へ

政府は「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画案などを示しました。人への投資を重点的に行うとして、およそ100万人を対象に再就職支援などを行うほか、個人投資家向けの優遇税制「NISA」の改革などを含めた「資産所得倍増プラン」を年末までに策定するとしています。
政府の「新しい資本主義実現会議」は31日、総理大臣官邸で会合を開き、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画案などが示されました。

それによりますと、官民連携のもとで気候変動やデジタルなど社会的課題の解決を図りながら経済成長を目指すとして、「人」、「科学技術・イノベーション」、「スタートアップ」、「グリーン、デジタル」の4分野に重点的な投資を行うとしています。
このうち人への投資では、さらなる賃上げへの取り組みとともに、転職やキャリアアップについて社外で相談できる体制の整備や、およそ100万人を対象に非正規も含めた能力開発や再就職の支援を行うなどとしています。
そして、個人の金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるため、個人投資家向けの優遇税制「NISA」や「個人型」の確定拠出年金=「iDeCo」の改革を含めた「資産所得倍増プラン」を年末までに策定するとしています。
また「科学技術・イノベーション」では、量子技術やAI=人工知能などで国家戦略を策定するとともに、総理大臣官邸に総理への情報提供や助言を行う「科学技術顧問」を置くとしています。
さらにスタートアップの支援を進めるため、年末に5か年計画を策定し、スタートアップ企業が事業全体の価値を担保に資金調達できる制度の創設に向け、関連法案の提出を目指すとしています。
このほか「グリーン、デジタル」では、脱炭素社会に向けて今後10年間で官民が協調して150兆円の関連投資を実現するとして、政府の支援策などを包括的に盛り込んだロードマップを示すなどとしています。
政府はこうした案を与党と協議したうえで、6月上旬に閣議決定することにしています。
岸田首相「社会的課題をエネルギー源に 新たな成長を」
岸田総理大臣は新しい資本主義実現会議の会合で「市場だけでは解決できない社会的課題をエネルギー源と捉え、新たな成長を図る。政策を実行するため、基金などを活用して予算単年度主義の弊害を是正するとともに、将来にわたる効果も見据えて税制改正を行う」と述べ、6月上旬の閣議決定に向け、与党とも調整を進めたうえで取りまとめるよう山際経済再生担当大臣に指示しました。
山際経済再生担当相 「やらなければならないことをまとめた」
山際経済再生担当大臣は記者会見で「分配と成長がぐるぐると好循環になるようにするためにはどうすればいいかという視点で岸田政権として、やらなくてはならないことをできるだけ明確にひとつにまとめた。国民に『なるほど』と理解してもらえる方向に進めばいい」と述べました。